「ストライド」に対する誤解
ストライドを伸ばそうと思った時に、「大股」を思い浮かべるのはごく自然なこと。
そして、それが大きな誤解でもあること。
ストライドは着地から着地までの距離なので、「大股」は空中で行うもの。
つまり、棒立ちで踏切り、空中では大股になり、着地でまた棒立ちに戻る。
実はこれの繰り返しをしているだけ。
初心者ランナーと上級者ランナーの違いは、前に伸ばした足がどう着地しているかに差がある。
初心者ランナーはそのまま着地して、遅れて体が足に追いつく。
一方で上級者ランナーは同じく伸ばした足がそのまま着地ではなく、体の方に戻りながら着地を迎えている。
ピンと伸ばして着地すると、前に進もうとする体を受け止めてしまい、それが減速の原因にもなってしまう。
ところが、足が体に近づくようにできると、接地の時に体が足を超えやすくなる。
理由は体の重心位置が後ろに移動することで、それより前にある上半身は自然と前に進むから。
つまり、上半身を前に、下半身を後ろにできれば、手のひらで逆向きの箒を操るように、簡単に前に倒し込めるのだ。
数値的な目安
ストライドを110センチ以上にできると、その後120、130と勝手に増えて行く時期が来るだろう。
こみちも最初は100センチを超えるのが大変で、ある時に超えることができて、気づけば130センチ、140センチになっていた。
100センチ超えが「100」くらい大変だとするなら、110センチが130センチになるのは「10」もないくらい。
理由はとてもシンプルで、ランニング時は毎秒5メートルくらい移動しているので、ほんの一瞬でも滞空時間が長くなれば、5センチ10センチは簡単に伸ばすことができる。
話を最初に戻すと、大股で飛び越える感覚ではなく、どれだけしっかりと踏み切って空中で大股になれるかということ。
そして、2歩目3歩目になっても、着地からスムーズにまた踏み切れることが大切。
だから接地で軸足が体重を受け止めた時に、グシャっと潰れてはいけない。
受け止めたタイミングに合わせて、遊脚を前に振り出して空中に飛び出そう。
この時によく起こるのが、上下動の多いフォームになって、上に上に飛んでしまうこと。
そうではなく、振り出す足は上ではなく、前方向に出していきたい。
どこまで低く出しても走れるかは、走ってみないと掴めないから、その感覚は練習するしかない。
そして、足のスイングスピードと振り出す角度がベストになると、現時点での最大ストライドに到達できる。
空中で大股になることに気づき、その後に角度を試行錯誤して、ストライドは驚くほど伸びた。
短距離走の感覚で走れば、ストライドは170センチを超えるし、足の入れ替えをバウンディングなどで強化すると200センチでも走れたりする。
つまり、大股ではなく、足の入れ替えるスピードが速くなれば、それだけしっかりと踏み切れるから、ストライドも伸びるし、ケイデンスも上がるはずだ。
片足ずつ動かすのは簡単だけど、両足を素早く前後に動かすのはすぐにはできないことも多い。
だからこそ、入れ替える動きは繰り返し練習したい。
足の速さはこの入れ替えスピードとも大きく関係していて、足の速い人は入れ替えも速い。