キロ3分30秒ペースから逆算するランニングフォームの話

 一般的なランナーなら

多分、一定基準を満たした人であれば、方法を間違えなければキロ3分30秒ペースで走れます。

その基準を挙げるとするなら、学生時代に50mを7秒前後で走れた人。

つまり、8秒だったり9秒だったりした人は、キロ3分30秒ペースからもう少し余裕をみて、キロ3分40秒ペースくらいになるのでしょうか。

いずれにしても、キロ4分15秒ペースで走れれば、フルマラソンなら「サブ3」で、ランナーの相当上位に入れる走力なので、キロ3分40秒でもかなり速いことが理解できるでしょう。

しかし、一般的な筋力を持った人であれば、方法さえ正しければキロ3分30秒ペースまでなら到達できると思います。

キロ3分30秒ペースとは?

キロ3分30秒ペースに到達するには、ストライド幅150センチを超えなければいけません。

最近では、高反発シューズの力を借りるのも手ですが、一般的なランニングシューズでも十分にクリアできます。

と言うのは、ストライド幅を歩幅と考えてしまうことで、150センチ以上を跨いで走ろうとするからでしょう。

イメージとしては、速く動く物体に乗って、時々、足を地面に触れる感覚です。

移動スピードが速ければ、150センチもアッという間の時間でしかなく、その間、空中に浮いていれば良いだけです。

つまり、その場でジャンプしても前には進みませんが、移動している状況でジャンプすることで、ストライド幅は勝手に増えていきます。

そのためにも、接地時に足で地面を蹴るとか掻くとか、余計な動きをしないこと。

それがキロ3分30秒ペースに到達できない原因になっているからです。

「真下の接地」の真意とは?

ランニングを始めた頃、ある専門家の方が「真下の接地」を説明されていました。

「真下に力を加えても前に進めないのでは?」と言う質問に答えていた時です。

簡単に言ってしまうと、静止状態から真下の接地を行うのではありません。

最初は加速するために後方に力を放出するので、体は前に傾き、足は前から後ろへと移動します。

しかし筋力との関係で加速状態は30m前後で頭打ちになるので、そこからは加速ではなく、スピードキープに入ります。

つまり、いかに減速しないで走り続けられるかの課題に変わるのです。

その段階ではランナーは既に前に進む推進力を得ているので、空中に浮かんでいればそれだけで前に進みます。

それを叶えるためにも、「真下に接地」していればいいという話なのです。

キロ3分30秒ペースの感覚

キロ4分ペースと比較して、キロ3分30秒ペースで走れた時は、接地時に足が地面に触れて体重を支えた瞬間と足が離れるタイミングがとても近くなっています。

つまり、ポンポンと軽快に弾んでいるように思えます。

真下に接地した時に、体重を支えた動きが前に押し出すタイミングにもなっていて、前に進もうとする推進力を妨げていないと感じます。

この時のフォームが100点の動きとするなら、キロ4分ペースは95点くらいで、少し接地での動きにズレがあります。

キロ4分30秒ペースなら70点台くらい。

キロ5分40秒ペースなら40点、50点の感覚でしょうか。

それくらいフォームに無駄があっても、それぞれのペースで走れてしまうことになります。

つまり、普段のランニングで頑張って走っていてもキロ5分ペースがキツいと感じてしまうのは、理想的なフォームと異なる部分が2割3割含まれているという話です。

それは筋力が弱いとか体幹の不足以外に、走る時のタイミングが間違えていることも要因です。

足を広げて走るイメージを持っているならタイミングは真逆で、足を広げるイメージは不要で、足を前に抜く時にいかにしっかりと軽快にできるかがポイントです。

軸足が地面に触れて体重を受け止め、それと同時に反対側の足をどれだけしっかりと前に抜き出せるか。

前方向での話ではなく、体の下側で足が入れ替わるタイミングこそ重要です。

そこだけ切り取れば、その場でジャンプしている動きと変わりません。

そこにそれまでに得た推進力が重なって、スピードをキープして走っているだけです。

50mの速い遅いは、足で掻く力の優劣。

でも1キロを超えた距離では掻く力ではなく、タイミングを合わせる体幹の話です。

確かにキロ3分30秒ペースで走り続けるのは大変かもしれません。

でもキロ4分ペースとか、キロ4分30秒ペースに落とせば、それだけ余裕が生まれます。

体幹力が足りなくて、ふらついてしまう瞬間があっても、少しペースが遅ければ安定するまで待ってもいられます。

接地での毎回、体重をグッと受け止めてしまうと誰だって速く走るのは大変です。

いかに前に前に転がして走れるか。

接地が前になってしまうと、それだけ足で頑張ることになるので、足はどこに着くと楽なのか。

腰高で走れと言われる意味も、理由があるからです。

骨盤が寝てしまうと足が上手く捌けません。

それではどう力を入れてもキロ3分30秒ペースは難しいのです。

つまり、速く走れるフォームだから速いのです。

逆を言えば、遅くしか走れないフォームで走るから遅いままなのです。

運動能力の違いではなく、フォームの違いだということ。

つまり、キロ3分30秒ペースで走ることで、普段はどうロスして走っているのかを意識できます。

そうすることで、例えばキロ4分ペースで走って、タイミングがどうズレてしまうのかも感覚として感じられるでしょう。

疲れて来ると、正しいフォームからどんどん崩れてしまうので、日々のランニングではそのキープに練習課題があります。

今日は70点のフォームで走り切ろう。

そんな感じで走ることで、理想を知った上でミスをどこまで許容するかも決められます。

ランニングの後に、短いインターバルなどではしっかりとキロ3分30秒ペースを出して、こう動きたいと言う感覚を取り戻すことも大切です。

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