短距離走で有効なフォーム
短距離走は、当たり前の話ですが移動距離が短く、ランナーが到達できるトップスピードを迎える前にゴールする可能性があります。
ということは、以下にトップスピードを高められるのかではなく、「加速」重視のフォームで走ることになります。
ランニングのスピードは、ストライドとケイデンスの積で決まりますが、ストライドを広げるにはより高い推進力が必要で、ケイデンスを高めるには足の軌道をよりコンパクトにしなければいけません。
短距離走ではストライドに関係するトップスピードを高めた推進力は期待できないので、よりケイデンスを高めるフォームが鍵になります。
そのような考察から、例えば膝頭の上下動も、胸までしっかりと引きつける意識は持つ必要はなく、地面すれすれに足を動かすことで、最短距離で必要な一歩を移動させられるはずです。
静止した状況であれば、いかに素早く前傾姿勢を作り、足は地面すれすれに引き抜くように動かすことができれば、求めているケイデンスを最大に近づけられるのではないかと思うのです。
中長距離走で有効なフォーム
短距離走で有効なフォームは、トップスピードに到達しない短い距離を素早く移動するためでした。
しかも、中長距離走の場合、トップスピードに到達できるので、その移動スピードをいかにキープして走り続けられるのかが課題です。
ストライドを広げる意識も、ケイデンスを上げる意識も、本来なら必要ではありません。
あえて言うなら、短距離走の流れで足を最短距離で素早く動かしていたなら、その流れでトップスピードに到達させ、その移動スピードをどうキープさせるのかが課題です。
その意味からすると、例えばキロ6分ペースでランニングしていて、キロ5分ペースに移行したいとそこから足を動かして「加速状態を作る」と、やはりスタミナを消耗しやすくなります。
もしもさらにキロ4分ペースまで移行させるつもりなら、一気に設定スピードまで上げてからスピードをキープして走る方がスタミナも消耗しません。
ということは、キロ6分ペースで走って、必死でキロ4分ペースに上げて、ヘトヘトでペースが落ちて、また無理に加速するというのはとても疲れる走り方です。
ではなく、一定の心地よいリズムで淡々と走ることが、結局はスタミナの消耗を抑えられることになります。
中長距離走が苦手に感じるランナーは、もしかすると短距離走のイメージで長い距離を走ろうとしているのかもしれません。
中長距離走で一番大切なのは、接地感だと思うのですが、その理由は推進力を無駄に減速させないように足を地面に着いて離せるのか次第で、減速度合いが決まるからです。
スティックを地面の前方に突き出し、そのスティックに近づいて力を加えようとすると、一定の時間が必要になります。
しかし、スティックを体の横に着き、体が前に進むと同時にスティックを前に倒すように引き抜くことで、最も楽にスティックは動かせませます。
この違いはまんま「足」の動きで、スティック全体ではなく、先端を弾ませるように柔らかく動かせれば、より軽快に扱えます。
中長距離走で上手く走るためには、このスティックの扱いを足で再現させることが不可欠で、それは短距離走のフォームとは異なり、推進力をキープさせるフォームで走りたいからなのです。