『お尻で走る』から『スプリント』を考える話

 『スプリント』と『ランニング』の違いとは?

「走る」という動作では同じ意味の『スプリント』と『ランニング』ですが、よくよく確認するとかなり異なる動きです。

「お尻を使う」テーマから、ランニングには体の前側の筋力で進む方法と裏側を使う方法があると紹介しました。

これらは、トップスピードの領域ではなく、もう一段遅いペースでいかに効率的に走るのかという視点で違いがあることに触れました。

車でいう高速道路を走る時に、低いギアで走るよりも高いギアで走る方が燃費が良くなることに近い話です。

では今回のテーマ、『スプリント』と『ランニング』の違いとは何でしょうか。

まだ経験の浅いこみちの見解ですが、「お尻を使う」という技術をベースにするなら、ほぼ同じ動きだとも言えます。

強いて言えば、軸足となる足が接地した時に、どれだけ厳密に遊脚(軸足ではない足)を引き寄せておけるのかが違って来ます。

特にケイデンスという部分に着目すると、私見ですが『スプリント』は250spmを超えてから分かってくる動きかもしれません。

ランニングでは180spm前後、ピッチ走法でテンポを上げても220spmくらいなので、スプリントの領域は全てのランナーが到達できるものではありません。

目安としては、学生時代に50m走で6秒台で走れた人でないと難しいとも言えます。

『スプリント』とは何か?

仮にケイデンスを250spm以上にできないこみちのような人が、『スプリント』とは何かを体験するとしたら、それはこれまでに体験したことがないほどの足の回転ではないでしょうか。

ランニングの180spmの足の動きがママチャリを漕いでいる時だとしたら、スプリントの250spm以上の動きはケイリンくらいになるでしょう。

こみちがスプリントの動きを練習に取り組み始めて、太もも内側の筋肉が変化しました。

内転筋群と呼ばれる部分なのですが、足の付け根の内側が発達し、ランニング始めてから膝関節周りが細くなったこともあって余計に目立ちます。

この内転筋群が発達するのは、足のスイングスピードを高める練習の結果です。

余談ですが、お尻で走るようになって大臀筋とハムストリングが大きくなりました。

言い換えると、これらの筋肉が細い段階では、正しいフォームでもしっかりと推進力が発揮できないのも当たり前です。

その意味では筋肉が強くなるに従ってできるようになってくるからです。

特に男性の方で、初めてスプリントの動きを意識すると、無意識に足を外側から回して前に振り出すことがあります。

もしも指摘されたら「これで?」と思うかもしれません。

なぜならケイデンスを上げようとして足を早く動かすと、正しい軌道を理解していないと理想よりも外から回してしまうからです。

なぜダメなのかというと、ケイデンスが上がらなかったからです。

250spmに近い回転までくると、感覚的には足が取れてしまうほどのリズムで回すので、外から回すと距離がわずかでも長くなるので、膨らまないように足を真っ直ぐ抜きたいのです。

結論を言ってしまうと、膝関節と足首関節は全く動かす必要はありません。

なんなら少し曲がった状態を保ち、股関節の前後運動だけでスイングしている感覚です。

と言っても、接地後は足を振り出すと足は勝手にお尻当たってしまいますし、膝頭を引き抜けば膝下が前に振り出されます。

股関節の動きができていたら、他は何も意識しなくても勝手に動いてくれるので大丈夫です。

でもこれらのことも、お尻が使う走りができてから話なので、「お尻を使って走る」ことがランニングだけではなく、スプリントの入り口にもなっています。

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