ランナーも「スプリント」を意識するべきだという話

 「スプリント」とは何か?

ここでいう「スプリント」とは、走っている映像をスロー再生すると分かるものです。

ポイントは、「接地」の位置と時間で、重心の真下でどれだけ短い時間なのかです。

つまり、踵着地している時点で「スプリント」ではありません。

フラット着地、フォアフット着地であることが不可欠です。

とは言え、仮にフォアフット着地だったとしても、接地時間が長くなっていたら踵着地と同じなので除外されます。

例えば、時速20キロ(キロ3分ペース)で走ってみると、同じ速度であってもランニングフォームのままなのか、スプリントフォームなのかが映像化するとよく分かります。

接地時間を短くする意識

ランニングスピードは、ケイデンスとストライドの積で決まります。

つまり、ケイデンスが低いとストライド幅が広くてもトップスピードの限界が早くなります。

そして、ケイデンスを上げるトレーニングをすると、ストライド幅も一緒に伸びて来ます。

スプリントフォームに変えて接地時間を短くすることで、次の一歩に早く備えられます。

ということは、接地してから足で地面を押したり、掻いたりしてもデメリットしかありません。

それこそがランニングフォームからスプリントフォームに移行できない原因にもなります。

接地したら余計な動きは止めて、一刻も早く前に足を戻すということを意識するべきです。

接地時間の長さで推進力の高さは決まらない

接地したタイミングに合わせて、まだ体を支えてようとしている時に、骨盤は軸足を押し下げるような動きを完了させています。

できれば足首も膝関節もしっかりと固めて、アキレス腱だけが収縮して反発力を蓄えたいのです。

つまり、フラット着地とフォアフット着地の決定的な違いがそこにあるのですが、フラット着地でも反発力のあるソールを持つシューズを使うことで推進力に転換しやすいでしょう。

現時点でこみちは軸足に体重を乗せるタイミングで骨盤を押し下げて、より反発力を得ようとしています。

竹馬に乗って走った時のように、軸足側には全体重を乗せて、乗せていない方は地面に引っかからないように高く上げながら前に回しているような動きになります。

高い反発力を得るには、強い乗り込みが必要で、さらに軸足の固定化が不可欠です。

体幹や腰回りの筋力がないと、その瞬間にブレてしまうので、力が分散し大切なタイミングを逃してしまいます。

その後に何かしても、もう足の力で押すしかなくなるので、スプリントフォームにはなりません。

体重の質量を足首関節の力だけで補うのは簡単ではありません。

短い時間で強い推進力を得るためには、安定したフォームが必要です。

悪い意味ではなく「後ろに押せている」感覚

接地後に押すのではありません。

接地した瞬間に体重が軸足に乗るタイミングで股関節から押します。

そうすることで後方に押し出すことができて、同時に腰から先に前に進むような動きが起こります。

実際、陸上選手の走りをスロー再生すると、腰がグッと前に入るのが分かります。

レベルの高い選手ほど間違いなくそんな動きがあって、初心者になるほどその動きは曖昧です。

つまり「お尻で走る」ことができているかどうかは、その動きで分かります。

また実際に自分のお尻に触れてみると、お尻の上の方から筋肉の盛り上がりができて来ます。

スプリントフォームとランニングフォームの違い

こみち自身は、ランニングフォームの中にスプリントフォームが含まれていると思っています。

その違いをあげると、まずスプリントフォームで踵着地はあり得ません。

理由は簡単で踵で着地して体重を徐々に足に乗せる動きが、スプリントフォームの特徴ではないからです。

体重が掛かる瞬間に反発力を得ることを目的にしているので、接地がより瞬間的に完了しない動きはスプリントフォームではあり得ません。

つまり、接地後に後方に足が流れてしまうこともあり得ません。

その際に膝が曲がっているかいないかも関係ありません。

なぜなら、体重を支え切ったタイミングで反発力を受けていて、既に前に進む動きが始まっていて、足はもう前に振り出し始めるからです。

その動きが短いことがスプリントフォームということです。

スプリントフォームを体験する

最も簡単な方法は、下り坂を駆け降りてみることでしょう。

速度が増してくると、自ずと足を素早く回さなければいけません。

もう地面を押している時間などありませんから、とにかく前に振り出すことが優先されます。

その時に、どう動かせば足を前に振り出せるのかを体験すると、スプリントとランニングの違いが分かりますし、スプリントフォームの原型が掴めるでしょう。

腰の位置、足の振り出す軌道、膝や足首関節の固定度などなど、いろんなことを工夫することで、よりスムーズな動きが見つかります。

これこそがスプリントフォームを学ぶ理由で、ランニングフォームでは身につかない動きになります。

そしてランニングフォームではなく、スプリントフォームに関する動画で知識や練習方法を知ると、さらに走ることが楽しくなります。

ケイデンスが190spmくらいだった頃と230spm以上になってからでは、足のスムーズさが全く違います。

そしてランニング中に速度を変化させたい時も、加速感が変わります。

キロ5分ペースから4分、3分30秒に上げたり、さらに3分を切るような動きも、スプリントフォームを会得するとより簡単です。


こんな記事はいかが?