そのランニングフォームで満足していますか?

 パッと見て分かるフォームのこと

手足の長いランナーが、それっぽく走るとカッコよく見えるのは事実です。

でも、そんなスタイルが整ったランナーであっても、ポイントを外していたらしばらくすると失速します。

ランニングは、他人に見てもらうことが一番の目的ではありません。

これまでランニングを続けて来て、速く走るという爽快感も、遠くまで走り続けるという達成感も知りました。

もう少し踏み込めば、手足を動かすことはとても体力を消耗し、だからこそダイナミックなフォームを見た時に、「凄い」と無意識に感じますし、「カッコいい」とも思ってしまいます。

しかし、ランニングの効果が薄いダイナミックなフォームでは、それを平然とキープするのも大変で、1キロくらい走るのを見ていると無理して走っていることに気づいてしまいます。

一方で、ダイナミックではないけれど、理に適ったフォームのランニングは、やはり効果的な結果を導きます。

それは単純に速さということではなく、段階的に今後の上達が見込めるステップになっていることです。

手足を大きく使うことで、ダイナミックなフォームに見せることはできます。

しかし、ランニングはケイデンスとストライドによって導かれるもので、特にケイデンスは足の可動域をどれだけシンプルにできるのかを追求することでもあります。

例えばゴルフスイングを学ぶ時に、男子プロゴルファーよりも女子のプロゴルファーを模範にするのは、一般的に男性よりも非力とされる女性が、一般男性以上のパワーを生み出しているからです。

ランニングも同様で、単純な筋力の強度で決まるものではなく、タイミングやリズムによってかなり変化します。

だとするなら、フォームを学ぶことは、中上級者のためではなく、むしろ初心者の時から始めるべきです。

同じ強さでも、どのタイミングでどう使うことが大切なのかを知れば、結果的にポイントを押さえたフォームになり、力感はないのにスピード感のあるランニングになります。

ダイナミックなフォームとの違いは、実際に走った時に効率的で無駄が少ないということでしょう。

前に足を振り出す理由

ランニングをする時に大きな誤解があるとするなら、初心者の多くは「足を前に振り出すことで進んでいる」と思っていることではないでしょうか。

これ、ウォーキングの場合には足が地面についたままなので当てはまりますが、ランニングの場合には間違った認識かもしれません。

結論を言えば、前に振り出す理由は「空中移動」のキッカケだからです。

ゆったりして見えるのに実際には速いランナーの多くは、前に振り出した足をすぐに着地していません。

その滞空時間の間は勝手に体が移動するので、手足を動かしているテンポと進んでいるテンポに差が生まれて、ゆっくりに見えて速いランニングになります。

しかし、初心者ランナーは、前に出した足が地面について、その足で体を前に運んでいます。

足を出した分だけ進むので、少しでも遠くに足をつきたくなって、大股で走ってしまうのでしょう。

ダイナミックに見えるフォームも、構造としては同じで、長く走り続けることができないのは、そのフォームが理に適っていないからです。

つまり、前に足を振り出す理由は、反対側の軸足がちょうど地面を蹴って踏み切るタイミングだからです。

軸足だけの力で下向きに足を伸ばすよりも、前に振り出し、さらに背筋なども使って姿勢を作ることで、より強い推進力を得て空中に飛び出せます。

バネのある走りに見えるのも、動きが一定ではなく、必要な時に素早く、そうでない時はリラックスしていることが理由です。

弾むという反発を得ながら進むのであれば、フォームは基本的に上下方向に動きながら行われます。

しかし、推進力の得方はいろいろで、例えば体を左右に捻ることで、軸足と前に振り出した足との勢いに貢献する方法もあります。

捻るという筋力を使うので、長く安定したスピードを維持するには、筋力トレーニングや持久力を高める必要があります。

縦方向のフォームでは、主に自重を使うので、横方向に捻るよりも慣れれば楽に走れます。

ただし、捻るという主導的な動作は、比較的ランナーの体調に左右されませんが、自重を活かしたフォームはリズム感とタイミングが全てなので、体調不良の時はフォームにも現れます。

さらにランナーはいくつかフォームを持っていて、その時々で変えるのは状況や体調などに合わせています。

フォームによって、導くことができるトップスピードも様々で、また同じペースでも楽さも違います。

ただ使い筋力も少しずつ異なるので、疲労が蓄積した時に休ませながら走るというような工夫もできます。

3キロくらいまでのランニングであれば、慣れたフォームでも走り切れるでしょう。

それに伴い手足を少しダイナミックに演出すると、カッコいいフォームで走れます。

一方で、5キロ10キロと距離が伸びると、やはり効率的なフォームで走る方が楽になります。

非効率なフォームで、歯を食いしばり走っても思うようには進みません。

それは筋力を使ってこそ進んでいたからです。

自重を活かしたフォームはコンパクトなフォームですが、苦しくなっても自重を使うので推進力が枯れにくいことも特徴です。

フォームをキープしている限り、しっかりと前に進めるので、練習の効果も感じられるでしょう。


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