「 フォームを作る」とは何か?
ランニングフォームも、基礎と応用という構造に分けられます。
その意味では、あらゆる物事と構造的に似ていて、基礎が無ければ応用は望めません。
では「基礎」とは何かになるのですが、多分、「体幹」と「筋力」を理解することではないでしょうか。
「走る」という動作をより効率的に高出力で行いたいのであれば、それを行う姿勢が安定し、しかも無駄を無くすことが必須です。
つまり、そこに理解や興味を持たないままで、ランニングフォームを考えても正解に行き着くとは思えません。
「足を体の真下に下す」
「少し胸を張って、胸又はおへそが引っ張られる感覚で走る」
「腰高のフォーム」
「大きな筋肉を使う」
などなど、結構いろんな所で耳にする言葉ですが、結局は体幹の大切さや筋力への理解があってこその話になります。
「地面からの反力」が全て!?
中上級者のテクニックは別として、こみちのようなランニング初心者にとっても「地面からの反力」を使うことが必須です。
そもそもなぜ反力を使うのかというと、ランニングで必要な「推進力」をどう得るのかという意味で、欠かせないポイントになるからです。
ランニングを前に進むことと理解するなら、どうやって推進力を得られるのかが気になりますが、「着地」が全てとも言えます。
地面についた足で、どれだけ前に進む力を生み出す動作ができるのかということ。
あえて「動作」という言葉にしたのは、足だけで行っていないからです。
つまり、「地面を蹴る」ことは、「足が流れる」という言葉に繋がりやすく、もっと言えば力が逃げて非効率になります。
足首で蹴ってしまう動作は、ふくらはぎのような小さな筋力で推進力を稼ぐので、それだけ負荷も大きく、長い距離を走るような場合にはおすすめできません。
ということで、太ももやお尻のような大きな筋力をどれだけ推進力と連動させるのかがフォームにとって大切です。
例えば立った状態で、片足を持ち上げて、体よりも少し前、真下、少し後ろと着地場所を変えながら持ち上げた足で地面を叩いてみましょう。
前側に落とすと、多分軽い衝撃があっても地面からの反動を強くは感じられません。
しかし、真下に下ろした時には、地面からの反力をより強く感じられるはずで、それは「真下」だからではなく、どれだけ重心線に近い場所なのかで決まります。
つまり、「体の真下」という表現を使うのは、重心位置との関係を簡単に表現したもので、この気づきはランニングフォームをより理解するために欠かせないポイントでもあります。
股関節まわりがしっかりと機能すること
ランニングフォームは動きの中で作られるので、特に股関節まわりが機能しなければ、思うような効果は期待出来ません。
つまり、ランニングフォームを作る時に「股関節まわりのストレッチが必要だ」と思わない人などいないでしょう。
結論だけを先に紹介すると、太ももをいかに引きつけ、膝を振り出し、ストライドを伸ばせるかが全てだと思います。
もちろんこれらも地面からの反力を得るために行う動作ですが、中上級ランナーに多いお尻につきそうなダイナミックな足の動きは真似するべきではなく、結果誰もが「そうなってしまう」ことを理解するべきです。
ポイントは股関節の可動域と、リラックスしたフォームで、特に膝下に力が入っていてはいけません。
無意識でも着地すれば、勝手に力が入って転げることはないので、自分でふくらはぎや足首に力を入れる必要はありません。
つまり、地面に着地した時に「蹴る」という動作が不要で、それを「流れている」と指摘されるのは、お尻まで上がってしまう足首の動きを真似るような行為にも言えます。
極端な言い方をすると、ランナーが意識して動かすのは股関節で、足に関しては「膝」までではないかと思います。
特に膝下はどれだけ脱力して、股関節の動きを妨げないようにできるのかがポイントです。
つまり、股関節が動き、膝がしっかりと稼働していれば、着地後の足先は前に進む体から取り残され、結果的に上へと跳ね上がって、膝を前に出す動作でお尻の方から引っ張られるように前へと移動しているだけです。
そこに何か力を使っているのではありません。
つまり、遅いスピードでお尻まで付くほど足首が上がるのは不自然で、感覚的にはキロ3分台くらいのペースになれば、自然と足の軌跡も中上級ランナーに似て来るはずです。
なぜなら、彼らも同じような意識を持っていて、自然と足がそう動いてしまうからです。
こみちのように比較的運動オンチな人でも、キロ5分で3キロくらいなら走れるようになりました。
これがもっと運動に長けた人なら、同じだけの理解でも10キロとか20キロの距離をキロ5分ペースで走ることができるはず。
また、別の言い方をすると、理に適ったフォームになると、キロ5分と思ってももっと速いペースで走れてしまいます。
「体の真下」はイメージよりも後ろ!?
今のこみちで言えば、キロ4分40秒が心地良く、調子がいいとキロ3分台になって来ることもあります。
「出している」ではなく「出てしまう」ということ。
それができるのは、体幹と筋力を理解したフォームを作ることが不可欠です。
疲れを感じていると、5キロくらいでも姿勢が崩れてペースが落ちますし、調子がいいと20キロ走ってもしっかりとフォームを意識できます。
フォームが安定すれば、より長く安定して楽な力で効率的に進めます。
最近の経験では、リュックを背負ってとても走り辛かったことがありました。
荷物の重さでペースがダウンしていると思っていましたが、背中にリュックがあることで動きが制限されフォームを崩したことで、思うように走れなかったというのが真相です。
それだけ「フォーム作り」がランニングの基礎で、それができていないと、応用編には進めません。
何より、ケガや故障を誘発するからです。
あと、言えるのは、「体の真下」はイメージよりもずっと後方です。
ランニングでは前傾するので、真下は頭ではなく、重心線の真下なので、思うよりもずっと後ろについている感覚がないと、反力を得られていないフォームになっているので注意しましょう。