トレラン(未舗装路)でも使えるフォームを考える話

 フォームの違いは太ももの使い方!?

ランニングを最も効率的に行うのであれば、身体の裏側の筋力を使ったフォームを続けることです。

しかしながら、身体の裏側を使うフォームが苦手としている状況があって、それが未舗装路のような接地が固定されにくい場面。

身体の裏側を使うフォームの要は、骨盤の上下動を使って地面からの反発力を推進力に変換すること。

滑りやすいような場面では、しっかりと反発力を受け取れないこともあり、推進力が下がります。

一方で、太ももの前側の筋力を積極的に使うフォームは、接地したタイミングで足が身体よりも前にあって、太ももの力で身体を引っ張りように進みます。

こみちはそんなフォームをガツガツと走るフォームと呼んでいますが、効率的ではありませんが確実なフォームではあります。

つまり、路面状況が安定していない濡れた場面や、トレランの岩場などではこの太ももで引き上げる走力がないと力強く走れません。

未舗装路でも、平坦で砂利くらいなら、身体の裏側を使って走ることができますが、どちらかだけしかできないという場合、長丁場で天候が変わりやすいような場面では苦戦します。

短距離走の選手が太い太ももなのに対し、マラソンなどの選手が割とスリムな太ももなのは、主に身体のどこを使って走っているのかが異なるからでしょう。

太ももも前側を使うのは、車でいう1速や2速を使うような場面。

短距離走の選手は、スタートダッシュでいかにトップスピードまで加速できるのかを意識すると思うので、やはり太もも前側の筋力が大切だと思います。

それに比べて、もっと長い距離を走るランナーは、加速することよりも、速度をキープすることが大切で、それは主に太もも裏側の筋力などが使われます。

下り坂をどう下って行くのか?

坂を下りる場面で大きく走り方を分けるのは、接地のタイミングと重心位置の関係による違いです。

テンポよく駆け降りられる場合、接地しても軸足にその衝撃が加わる前に次の一歩へと移行できます。

しかし、滑りやすい路面や疲れているような場合、足を着いてから遅れて身体が来るので、その間ずっと軸足で体重を受け止めています。

このような動きになってしまうと、段々と膝関節に負担が蓄積されるのでランナーはさらに疲労感が増すでしょう。

結果的に自ずとストライドを狭めて一回の衝撃を小さくするしかなくなり、ペースも落とすことになります。

身体の裏側を使って走るランナーは、そのフォームの特性から下り坂でも割と速く走ることができるはずです。

理由は、足の接地場所を身体の近い部分に置くことに慣れているからです。

そのことで下り坂でも軸足に加重させないようにリズミカルに下ることができます。

その意味では、太もも前側でガツガツと掻くフォームしかできないと、下り坂は逆にスピードが速くなり、場合によっては速度に身体が遅れてしまうことで膝関節で勢いを受け止めることになります。

下り坂の場面は、フォームの種類というよりも、足の回転数が肝心なのですが、「挟み込み」が得意なフォームを知っていることでケイデンスを上げた走りができるでしょう。

また膝関節の逃し方が上手いとそれだけ楽に走れるということです。

実際、こみちもフォームを変えてから下り坂が楽になりました。

追い風を活かして走る場面で

追い風を受けて走ると楽に走ることを誰もが知っています。

しかし、身体の裏側を使うフォームを知っていると、さらに追い風でスピードを上げられます。

というのも、フォームの特徴で空中移動を積極的に活かして走るので、追い風でストライドが自然に伸びてペースアップできるからです。

一歩ずつ掻いて走るフォームでは、背中を風に押されることで掻く動作が楽に感じることができるので、やはりペースアップできます。

実際に比較すると、追い風で嫌な気分になることはありませんが、やはりペースアップしやすいのは身体の裏側を使うフォームの時です。

なぜなら、風の強さに関わらず、空中移動できるからです。

ガツガツと掻くフォームでは、ケイデンスの限界までしかペースアップできないので、加速は楽になりますがトップスピードが上がるとは言えないからです。

余談ですが、厚底シューズで推進力を発揮したいのであれば、身体の裏側で走るフォームをマスターした方がいいといるでしょう。

ガツガツなフォームと身体の裏側を使うフォームの違い

決定的な違いは、軸足が地面に触れた後です。

ガツガツなフォームの場合、軸足が地面に触れたら、その足でいかに身体を前に引っ張れるかが大切です。

その動きを生み出すのが、太もも前側の筋力で、押し込む力がポイントです。

一方の身体の裏側を使うフォームでは、軸足が地面に触れた後、反対側の足が身体の前側で待っている状態です。

身体も軸足の上を通過しているので、ガツガツと引っ張ることもしません。

むしろ、前方に移動する慣性を妨げないように、下から足が支えている感覚です。

そのために、ケイデンスを高めて、身体の移動速度に遅れないように足を回すことが問われます。

結果的に、太もも前側の筋力を押し込めるためには使わないので、足を回転させる時にハムストリングや大臀筋のような裏側の筋力を使って身体を支えるような動きに徹します。

膝や足首使って「押す」動作さえ不用なのは、接地しているわずかな間に身体は数メートルも進むので、その推進力に対して膝や足首の動きでは追いつかないからです。

であるなら、推進力の「邪魔をしない」ことを優先し、使うのは股関節だけでいいのです。

もう少し言えば、膝関節伸びているかどうかよりも、例えば少し曲がったままでも推進力を邪魔しないように、いかに前に倒して勢いを妨げないように動かせるのかの方が大切です。

フォームは両方使えた方がいい!

ランニングで、身体の裏側を使うフォームは、自然にマスターすることはできません。

なぜなら、ガツガツ走るフォームとは、全く身体を使うリズムが違うからです。

ウォーキングから身体の動きを発展させれば、間違いなくガツガツしたフォームになります。

スタミナが豊富な人であれば、このフォームだけでも高い運動パフォーマンスを発揮できるでしょう。

逆を言えば、身体の裏側を使うフォームだけしかできない人は、ラストスパートのような場面で急激な加速力に乏しいとも言えます。

つまり、駆け引きしながらダッシュするような瞬発力は、ガツガツした走りで決まります。

どちらもできた方がいいということです。

例えば、練習である一定のペースで走り続けるような時は、身体の裏側が使うフォームで行います。

一方で、インターバル練習のように、スタートダッシュから一気に速度を上げる時はガツガツとしたフォームで行います。

さらに、区間によって接地ペースを変えて走るような時は、その2つのフォームを自在に入れ替えることも身につけた方がいいでしょう。

これはこみちの経験談ですが、キロ4分ペースでランニングしていて、そこからさらにペースアップしたくても、身体がトップギアのままなので、一気に加速することができませんでした。

どうすれば速く加速できるのか、試行錯誤していた時期があって、そのコツが地面から離れた足をお尻の方に上げることで、次の軸足をより強く地面に押し込めるようになって、加速しやすくなりました。

この辺りのことを日々の練習に取り入れたら、フォームを自在に操れるようになって、いろんな走り方ができると思います。

こみちの場合は、裏側を使うフォームをもっと上手になりたくて、その時はほぼフォアフット着地をしています。

普段はフラット着地の方が楽なので、ただ走るランニングならフォアフットにはしていません。

でも推進力を得るためにしっかりと骨盤で押し込む動作は、フォアフットの方がやりやすいです。

そのためにも、足首関節の強さが必須なので、そのブレを無くす練習が必要になっています。



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