「車旅」で「人生」を彩ることはできるだろうか?

長寿番組「遠くへ行きたい」より

日本テレビ系列で放送されている「遠くへ行きたい」は、1970年代に始まった長寿の旅番組である。

特にオープニング曲を聴くと、どこかもの寂しく、でも未だ知らない場所を訪れてみたくなる気分を掻き立たれる。

大きな笑いがある訳ではない。

むしろ、カメラ越しに観ている視聴者は「第三者」的で、目の前で淡々と起こる事柄をいい意味で落ち着きながら視聴できる。

最近のテレビでは、主演者が取材交渉をするシーンも珍しくないが、そこは事前に段取りしているのか、番組内でそんな場面はなくて、「こんにちは」って感じで進行はスムーズだ。

そんな「遠くへ行きたい」を模したYouTube コンテンツは作れないだろうか。

支持されるのは「人間らしさ」が感じられるコンテンツ

YouTube を観たい視聴者全てが、テレビ番組を観るようなしっかりとした情報の公平性まで求めているだろうか。

テレビ番組で「ヤラセ」が大きく非難された過去があるが、そもそもYouTube のコンテンツ内容を厳密に精査し、放送倫理に基づいているというような指針が示されているだろうか。

これは単純にこみち自身が不勉強なだけだが、テレビ番組との違いがあるとすれば、提供される情報にどれだけ担保があるのかだろう。

つまり、出演者が別のチャンネルで裏話として製作現場の実態を暴露した場合、いわゆる公正性、正当性のような視点で、語られているだろうか。

もちろん、一脱した表現や広く青少年に害をある内容を扱う場合に、一定の配慮が求められるのは当然だとして、少なくとも「ノンフィクション」なのか「フィクション」なのかも明示しないことも多い。

視聴者は本当のことと思い、また作り話として受け止め、時に出演者の人格までも誤解して認識する場合も起こる。

実情として受け取れば、演者に過ぎない登場人物の私生活部分にまで被害が波及しないとも限らない。

だからこそ、テレビ番組での演出は「ヤラセ」ではあってはならない。

つまり、「フィクション」を「ノンフィクション」として視聴者を欺いてはいけないのだ。

例えば、状況説明をする場面がYouTube のコンテンツとして発信された時、少なくともその状況をリサーチしてから「公平性」に基づき説明されるべきだ。

ところが、「経緯は知らないけれど…」と説明するべき立場の人が情報をしっかりと把握できていないまま、一方的な発言をしてしまうのは通常のテレビ番組では公平性に欠けた放送となるだろう。

つまり、テレビ番組と比較して、自由の高いYouTube ではあるが、テレビ番組同様のコンプライアンスを強いれば、テレビ同様に簡単にはコンテンツ製作が行えないことになる。

ある意味で、「ゆるさ」がYouTube の特徴で、しかしいずればテレビ番組同様に不適切な表現や演出に指摘が行われる時が来るだろう。

NHKの「鶴瓶に乾杯」などで、鶴瓶師匠とゲストが地方を訪ねて、その地の住人との遭遇をへて、展開される番組がある。

「鶴瓶さん!」

彼を発見して、笑顔で近づいてくれる地元民に、「何してんの?」と関西弁で話しかける。

でもこれを一般のYouTuber にできるかというと、YouTube で知名度があってもテレビタレントのように世代を超えた認知度は期待できない。

数少ないスタイルではあるが、例えば「ジョーブログ」のジョーさんのように、世間で起こる様々なネタを飛び込み企画で取材し、考えさせられたり、笑わせてくれたり、そんなチャンネルもある。

テレビという枠では扱うのが難しいテーマにも、彼らしい人柄と行動で、その内容が作られている。

YouTube チャンネルで目指したい方向性とは?

「今日は全国何万人の方がコロナに感染しました」

活字としては事実でも、それが我々市民の生活をどう変化させたのかは具体的に見えて来ない。

よくテレビでは、医療現場や感染し自宅待機している方を取材したり、その影響をテレビ取材という目線から報道してくれる。

しかし、YouTube にできることがあるなら、さらにもう一歩踏み込んだ部分だろう。

例えば「コロナ禍で解雇された人のその後」とか、「感染後にしっかり完治してどう日常生活を取り戻したのか?」という部分になると、YouTube の方が縛りが弱いだけよりニッチに扱えるテーマかもしれない。

それこそ、カメラを持って、サラッと街並みを映すだけではもう「車旅」の醍醐味を伝えることができないことにみんなも気づいている。

むしろ情報収集なら、それが得意なテレビの夕方に放送される「特集ネタ」に勝てないだろう。

改めて、今でも支持されるチャンネルの多くは、明確に支持されている理由があって、視聴者の見たいと思わせる内容をしっかりと盛り込んでいる。

例えばこみちのチャンネルでは、「似顔絵」のようなものを細々と続けているが、絵が好きな人や、弱小チャンネルを応援してくれる優しい人くらいが大半の登録者で、一般視聴者の期待に応えられてはいない。

だからこそ、チャンネルとして支持されないのも当然だと言える。

つまり、「ヘェ〜」と思ってもらえるための工夫がないのだろう。

そして「車旅」のチャンネルを始めるなら、そこにどう泣き笑いを盛り込めるのかが試される。

今年くらいからもう少し意欲的に野外活動に参加できるかと思っていたが、昨今の感染者増加のニュースを見て、もう少し自粛するべきなのかと悩んでしまう。

とは言え、YouTube が誕生したことで、一般の個人でも作る楽しさを感じれるようになった。

みんなは、どんなチャンネルに興味を持ち、作っていきたいだろうか。

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