「 YouTube 」とメディアとして「テレビ」は何が違ったのか?
先にお断りしておくと、こみちは昔からYouTube を利用していた人ではないし、あのトップYouTuber「ヒカキン」さんのことでさえみなさんよりもずっと後から知っただろう。
ただ、これから「YouTube」を本格的に利用し、自身の夢を叶える場所とするなら、先ずは「テレビ」との違いを自分なりの視点で考えてみたいと思ったのだ。
今でさえ芸能人も「YouTube 」を始めているし、古くから活躍している歴代のYouTuberとしっかり住み分けができていて、また共存しているように思う。
興味深いのは、芸能人のチャンネルはYouTubeでもテレビ番組っぽい。
一方で、YouTuberのチャンネルは、「サムネイル」で8割内容が分かる親しみやすさが魅力だ。
トップ画面にたくさんのサムネが並び、ユーザーは指先で画面をスクロールさせる。
その5秒程度の品定めで勝ち抜く技を人気YouTuber は見抜いているようだ。
目立つワンフレーズがユーザーに興味を誘う。
若しくは、一瞬でもそのチャンネルだと気づかせるインパクトのある顔出しも特徴的だ。
しかし、実はもう一段階進んでいて、これはきっとYouTube の「おすすめ」が秀逸になったことも関係しているだろう。
つまり、ある程度視聴されたコンテンツの中から、ユーザー毎に視聴傾向を解析して「おすすめ」にピックアップされていて、もしもその中から選ばずにいきなり「検索にワードを打ち込めば」さらにそれは今後の傾向に反映されて行く。
そうすることで、以前ならもっと「おすすめ」として選ばれていただろうコンテンツが選出されなくなり、より実績のあるコンテンツがより視聴される傾向にある。
興味深いのは、おすすめとしてピックアップされた中に、チラホラ一度も閲覧したことがないチャンネルも含まれる。
これまで閲覧してきたサムネデザインとは明らかに異なるデザインレイアウトが、計算されていない感じで逆に目立つ。
とは言え、そんなコンテンツも数日間で10万回以上再生されているから、こみちの視聴傾向とは異なるユーザーに支持されているチャンネルなのだろう。
テレビ番組の場合、時間帯によって視聴者層が変えられる。
今はどうか分からないが、テレビCMでさえ時間帯によっては扱う商品やサービスの種類によってはスポンサーになってもCMを流してもらえなかった。
それほど、様々な世代が視聴していることを前提にテレビ番組が作られていたのだろう。
割合、深夜枠の番組は想定される年代が制限されていて、その分だけ自由度の高い意欲的な番組が放送された。
ある意味ではくだらない内容でも、その徹底したくだらなさが深夜という時間帯に合致する。
中には深夜枠で実績を残し、リニューアルを経て幅広い世代が視聴する「ゴールデン枠」へと編成される。
深夜枠の時にはあった刺々しい刺激は薄れ、どこか番組が優等生になっている。
それは視聴しているユーザー数が増加し、よりスポンサーからの広告収入も期待できるから、出演者にもより割の良いギャラが支払われるだろう。
ある意味、低予算で細々と少ない資金で知恵を絞った企画も面白いが、潤沢な資金でやってみたいことは何でもできる番組も別の良さがある。
では、YouTube ではどうか。
例えば、ある時期、視聴者の90%が国外のユーザーだったとしたら、コンテンツはグローバルな親しみやすさを盛り込んだ方がいいだろう。
日本人にはベタに思えても、日本に興味を感じて視聴してくれる海外のユーザーにはそれくらい分かりやすい内容の方が親しめる。
同様に、視聴者の90%が男性ということなら、「メイク」や「ファッション」を扱ってもなかなか視聴者は増えないだろう。
しかし、男性向けとか、女性心理という裏話を盛り込めば、ぐるっと回って人気チャンネルになる可能性もある。
逆に、学者ばかりが集まるような場合、お笑いネタも一発ギャグ的なものよりも、しっかりと作り込まれたネタの方がウケるかもしてない。
そんな風に考えた時、あるYouTuber の登録者数が500万人で、別のYouTuberが100万人だった時に、単純に数字の大小だけでYouTuberとしての評価は本来できない。
なぜなら、YouTube に広告費を出しているスポンサーは、YouTuberの支援者ではない。
自社のサービスや商品を広く認知してもらい売上に反映させたいと思って広告費を捻出している。
つまり、登録者数が500万人でも、有効的な視聴者が500万人とは限らないし、広告視聴から実際の販売や契約に結びつかなければ、本来の出資目的は未到達ということだ。
一方で、ある程度自由になる資金が使える世代から登録者を集めているチャンネルは、そこで視聴した広告から高い割合で販売実績に繋がったとしたら、100万人と500万人の登録者数は評価としては逆転してしまう。
しかし、YouTube からチャンネル運営者に評価ランキングのような指標は無いから、「金の盾」や「銀の盾」を目安にするのだろう。
もしもそこで、テレビ番組で求めるようなCM効果をスポンサーから制作サイドにまで届いたら、番組の作り方も一変するはずだ。
収益性に繋がらないユーザーよりも、実際に購入や契約に積極的なユーザーをより大切にする傾向が明確になって来る。
そんな風になってしまうと、今のYouTuberの勢力図も一変してしまうかもしれない。
テレビ番組では、制作サイドと不仲になればキャスティングから外される。
それはつまり、芸能人としてテレビに出られないことでもある。
一方でYouTube の場合、YouTubeからペナルティに合わなければ、その範囲内であれば視聴されるに至る動機までは精査されない。
例えば「ウソ」をついて、それが大炎上だったとしても、視聴回数には変わらない。
一方で「コツコツ」と真面目にコンテンツを作っていても、誰からも視聴されなければ広告収入は入って来ない。
テレビ番組ではタブーとされる手法でも、YouTube では問題視されないこともあり、映像を提供するサービスではあるが、その根底はかなり異なっていると思われる。
つまり、人気YouTuberがテレビタレントになって、その魅力をテレビ番組内でも発揮できる一方で、テレビ特有の制限や時間枠など、YouTube では特に問題とならないような演出や手法が制限されることもある。
それは、YouTube とテレビ局それぞれとYouTuberとテレビタレントの関係が異なることも大きいだろう。
これからYouTube のフィールドでチャンネル運営する場合、テレビ番組の制作を真似るのは問題ないとしても、視聴されなければ収入できない原則を踏まえて、コンテンツは作られるべきだ。