年末からの悩み
「なぜか体が重い。以前のように走れない……」
そんな得体の知れない不調に襲われたのは、昨年の年末辺りのことでした。走るのが大好きなランナーにとって、思うように走れなくなるのは何より辛いことです。
「もっと練習量を増やせば戻るはず」「これはただの甘えだ」
そう自分を鼓舞して走り続けようとしましたが、事態は悪化するばかり。そこで私が一旦立ち止まり、自分の体を見つめ直すために頼ったのが、スマートウォッチに表示される「心拍変動(HRV)」という数値でした。
1. 絶不調の正体は「自律神経の悲鳴」だった
年末からの私は、走れば走るほど疲労が蓄積し、タイムは落ちる一方。心当たりがないのに足取りだけが重い日々が続きました。
そんな時、ふとランニングウォッチから記録されたランニングデータの「心拍変動(HRV)」の変化に気づきました。と言うのも年間で見ると秋ごろがそのベースラインと呼ばれる基準値が徐々に低下し、さらに日々の数値も下がっていました。心拍変動とは、心拍の間隔がどれだけ変化しているかを示す指標です。ベースラインと呼ばれるその人にとっての「基準値」に対して、今の調子を探る数値として活動しました。
- 数値が高い: 自律神経が柔軟で、回復が進んでいる(準備万端!)
- 数値が低い: 自律神経が緊張状態で、疲労が溜まっている(要注意!)
私の場合、ベースラインも低下傾向でその日の数値も下がっていて、「自律神経」が常に緊張し、疲労が蓄積された状況でした。
2. HRVの「50」は、あなただけのメッセージ
ここで大切なのは、「HRVの数値は他人と比較するものではない」ということです。
例えば、ある人の「50」という数値が絶好調を意味していても、別の人にとってはオーバーワークのサインかもしれません。心拍変動は年齢や体質によってベースラインが全く異なる、「自分専用の数値」なのです。
一般的に若い世代ほど数値が高く出る傾向にありますが、大事なのは絶対的な数字の大きさではなく、「自分の平均(ベースライン)からどれだけ乖離しているか」という振り幅です。
私の場合、自分の平熱を知るように、自分の「標準値」を知ることで、初めて自分の体が発しているSOSに気づくことができました。
3. 勇気を持って「上限」を決めて走る
数値を見て「今は休むべきだ」と理解した私は、練習内容をガラリと変えました。タイムを追う練習を捨て、「心拍数の上限を決めた(こみちの場合は150 bpm)ランニング」に切り替えたのです。
具体的には、心拍数が一定以上(例えば最大心拍の70%など)に上がらないよう、上がったらペースを落として迷わずウォーキングに切り替える。そしてこみちの場合は心拍数が110bpm以下になったらまたランニングに切り替えました。
- 目的: 心肺機能を追い込むのではなく、自律神経の回復を促すこと
- ルール: 設定した心拍を超えそうになったら、迷わず歩く
正直、最初は以前ならもっと楽に走れたペースでも足が動かない感じで、焦りばかりでしたが、ルールを決めたことで「それでいいんだ」と思えるようになりました。無理を控えたことで、少しずつ朝の目覚めが良くなり、再び「走りたい」という自然な意欲が湧いてくるのを感じたのです。
4. ベースラインが低い時の「賢い過ごし方」
今、もしあなたが「なんだか調子が上がらない」と感じているなら、一度自分の心拍変動のトレンドをチェックしてみてください。もしベースラインより低くなっていたら、それは「練習の質」を変えるチャンスです。
- 数値が少し低い時: 予定していたポイント練習を、強度の低いジョギング(ゾーン2)に切り替える。
- 数値が大きく落ち込んでいる時: 「走らない勇気」を持つ。ストレッチや睡眠を優先し、自律神経の器を整えることに専念する。
まとめ:長く走り続けるために
ランニングは一生続けられる素晴らしい趣味です。だからこそ、時には「引き算」の練習が必要になります。
心拍変動という客観的なデータを味方につければ、根性論に頼りすぎて体を壊すこともなくなります。自分の体の「声」を数字で聞きながら、無理のない範囲で一歩ずつ。
こみちも少しずつですが、走る楽しさを取り戻せています。焦らず、自分のペースで走れるようになるためにも「心拍変動」の数値がベースラインよりも高いか低いかチェックしてみませんか?