ランニングは「ケイデンス」で考えるのがおすすめ

 「ケイデンス」とは何か?

ランニングをされる方なら「ケイデンス」をご存知でしょう。

ケイデンスは、ランニングのテンポを意味し、足をどれくらいの間隔で出して走っているかを数値化したものです。

よく耳にするのが1分間辺り180回で、1秒3回のテンポで左右の足を出していることになります。

ここまでは割とネットでも見つけられる情報ですが、約2年9ヶ月のランニング経験からご紹介できるのはもう少し細かなトピックになります。

「ケイデンス」をコントロールする

数値は個人で変化するものですが、一例としてこみちの場合で話を進めます。

一般的には1分あたり180回(180spm)ですが、このテンポで走るとペースはキロ5分20秒くらいになります。

ストライド幅が100センチ前後で、かなり理想的なフォームではない自由なフォームで走った時です。

準備体操後、体調を確認しながら走っている時がこのテンポです。

ただ、テンポとしては遅く感じるので、走ってそのままという方が珍しい感じです。

こみちの場合、同じ気持ちで走っていても185spmにテンポアップしています。

テンポと言うと、足を前に振り出すタイミングを指しますが、実際に接地していた足を前に振り出す時のスピードはテンポが変わってもほとんど差はありません。

では180spmと185spmの違いですが、それは振り下ろすまでの時間が違います。

つまり、テンポが早くなると足を速く動かしているということことではなくて、振り出すスピードは同じですが、振り上げて待っている時間を変化させてテンポをコントロールしています。

なので、180spmで走っていて、自然に185spmに上がってしまうのは、振り下ろすまでの待ち時間に耐え切れず、勝手に足を下ろしているから早くなります。

右、左、右、左ではなく、右、待って、左、待って、右という感じで、足を交互に動かす間には待っている時間があります。

言い換えると、こみちの場合、ケイデンスを195spmに上げた時、その待ち時間をほぼ「0」にすることができます。

右、左、右、左と淡々と足を出して走っている時です。

このケイデンスで走るとキロ4分ペース辺りになっています。

加えて、テンポに合わせて体のタイミングも同調させることで、足を振り出すスピードが上がり、それは接地での力の伝達をよりスムーズにするので、ストライド幅が拡大されて、例えばストライド幅130センチだった走りが140センチへと変化して、ペースもキロ3分40秒や30秒に上がります。

でも最近、足を出すことに慣れて、足のスイング速度が上がりました。

結果、ケイデンス200spmが無理して出すテンポではなくなり、割と気持ちよく足を動かした時になります。

200spmに上げたことで、ストライド幅も150センチ前後に増え、キロ3分30秒ペースで走ることが心地よくなりました。

以前も同じくらいのペースで走ることができたのですが、決定的な違いはケイデンスにあって、これが例えば210spmまで上げて走ってしまうと、体の酸素を急激に消耗し、割と早く足が止まってしまいます。

運動強度と酸素の循環が合わないので、長くその運動を続けられませんでした。

しかし、ケイデンスを200までに抑えることで、体の負担が低下し、継続しやすくなりました。

ここから分かること

接地時に足をどれだけ素早く入れ替えられるのかで、足のスイングスピードが決まります。

180spmと200spmでは、約10%スイングスピードが変わることで、それだけストライド幅に差が生まれます。

足の回転数の差、ストライド幅の差がそれぞれに生じ、結果的にキロ5分20秒ペースとキロ3分30秒ペースのような差になります。

ガツガツと足を地面に下ろして走っても、すぐにバテてしまうのは運動強度が高くて、それを保てないからです。

入れ替えスピードを上げるために、アクションが大き過ぎるのです。

そうではなく、軸足が地面から離れて、反対側の足が地面に降りる動きの一瞬に、スピードを発揮します。

両足を動かしているだけではなく、骨盤や背中なども使って、一気に入れ替えます。

合わせるタイミングは地面に足が着いて、体重を受け止め、その後にふっと浮き上がる時です。

浮き上がるタイミングで一気に足を入れ替えれば、よりスパッと足が動き、しかも体が勢いよく前に跳ぶので、ストライド幅がぐんと伸ばせます。

こみちの場合、170台のケイデンスで走ると、待ちに耐え切れず、接地時間を長くしてテンポを合わせてしまうので、合わせるべきタイミングも無視して自分の感覚で地面を押してしまいます。

そうなると、勢いとは別の力で進むので、足の筋力をたくさん使うのに、ペースが上がりません。

具体的に言えば、キロ5分40秒からキロ6分くらいで走ると、スピードが遅いのにとても疲れてしまうのです。

それは体重の動きを無視して足を動かしているからですが、足を出すテンポはいつでもいい訳ではなくて、体重を軸足で支えた時がポイントです。

支えて安定するまで待ち時間が長いと、その時はもう反発は使えないので、毎回自力で前に進むしかありません。

ですが、タイミングを合わせるとスピードを保つのは簡単で、楽なのに速く走ることができます。

例えば、50mを割としっかり走り、ゴールした後、スピードが速いので足が勝手に動きて段々と減速します。

イメージとしては、勝手に動いている感覚でずっと走っているのです。

減速してしまうのをいかに抑えて、タイミングを合わせるのか。

例えばキロ3分ペース(50m9秒)で走り、そのスピードからテンポを合わせて走ってみると、キロ3分ペースそのままは難しくても、キロ4分ペースならキープできるかもしれません。

少し足を回すテンポを遅くして、でも勢いはできるだけ落ちないように足を動かします。

地面を蹴ったりしなくても、ただタイミングを合わせるだけでそのペースで走り続けられます。

ランニングではタイミングを合わせる練習をするべきで、最初は足を同じ軌道で動かすことから始めるといいでしょう。

意外と走り始めて間がない頃は、足を前に振り出すのも大変で、筋力が弱いと足を脇から回すように動かしてしまいます。

体を左右に振って、その反動で足を出しているからですが、腕振りが円運動になっているのが特徴です。

でもそう動いてしまうと接地時の入れ替えが遅くなりがちで、例えばこみちがその動きで走っても、キロ4分ペースを楽に走ることはできません。

筋力の使い方が変わるので、接地でスムーズに足を入れ替えられないからです。

例えばサブ4を目標にしていて、キロ5分40秒ペースで走り続ける練習をしたいなら、そのフォームでもいいと思うのですが、楽に速く走りたいと思うのなら、最初からフォームを意識して練習した方が変な癖もつかないので後が楽です。

実際、こみちは初期からフォームにこだわりました。

その結果、最近になってケイデンスを上げて走ることに慣れて、ペースが自然に上がっています。

短距離走のようにガツガツと走って到達するのではなく、その勢いを使って楽に足を回して走ることができるので、以前よりもキロ3分30秒ペースでも頑張っている感覚が薄くなりました。

しているのはタイミングを合わせているだけなので、心拍数もすぐには上がらず、運動を長く続けられるのです。

でもそれができる理由は、足の入れ替えスピードが速くなったからで、結局、その動きが速いと楽にランニングできることに気づきました。



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