「市民ランナー」を楽しもう!という話

 冗談でも語れないプロの厳しい世界

「キロ何分で走れるのか?」と言う話題は、多分、キロ2分台になってから別世界になる。

こみちがダッシュの練習で感じた2分台は、単純計算すると50メートル9秒以下で走るイメージだ。

つまり、8秒後半から8秒、さらに7秒台と縮めていくのはどんどん難易度が上がる。

国内の実力あるランナーであっても、国際大会で優勝確実とはならないのは、骨格や筋力など、そのランナーの資質が問われる領域に入るからだろう。

どんな業界であっても、実力ある人は、たいてい誰にも負けないような必殺技を持っている。

つまり勝ちパターンと言うヤツだ。

この形になれば、ほぼ負けないと言うスタイルがあって、つまり、その分の悪い状況に他の人を追い込むことで勝利をより確実にしていく。

でも、多くの人は必殺技と呼べるような圧倒的な手法などなくて、勝ったり負けたりしながら、その選手生命を終える。

例えば、50メートルを6秒台で走ってしまうランナーがいたら、多くのランナーはラストスパートで振り切られてしまう。

そしてその対策は自身が同じスピードを身につけるのは難しいから、ペース配分の部分で勝機を見出すしかできない。

市民ランナーの楽しみ方

こみちが一時期どハマりしていたゴルフを思い出した。

スイングの分析をして、その理想に合ったトレーニングをコツコツと始める。

すると短期間でもある程度の成果を感じることができて、ゴルフというスポーツがどんどん楽しくなっていく。

しかしながら、プロライセンスを持っていないアマチュアのトップアマを目指している人と知り合って現実を知った。

こみちの趣味レベルとは全く異なる練習と技術力の高さ。

比べて優劣をつけるのではなく、一瞬で明らかなほど相手の上手さに感心させられる。

「そりゃそうか!?」

その方はプロライセンスこそ取得していないが、高校時代からコツコツと練習し、プロを夢見たこともあっただろう。

それからプロを諦めて、一般の社会人として働き、でも趣味としてゴルフを続けていた。

草野球でもプロからスカウトされるギリギリまで行ったという人を知っているが、その人は故障によってその夢が絶たれたと教えてくれた。

河川敷で遊び程度の草野球をすると、彼の上手さはちょっと次元が違い過ぎる。

肩の強さなんで初めて見た時は、本当にプロに行けるのではないかと思ったほどだ。

でも言い方を変えると、プロという領域はそれだけ大変だということ。

もう削るところがないくらいに洗練し磨き上げたレベルになってから、さらに挫折を味わった人がどれだけたくさんいることか。

地元では将来を期待されたていた人でも、そこからステップアップして、段々と対戦相手が変わっていき、気づいた時にはまだラスボスではないはずの相手にも勝てないと気づく。

最初は走るのが楽しくて仕方がなかったはずなのに、ある段階からは連敗続きで伸び悩む。

だからこその市民ランナー。

「キロ〇〇分のペース走をした!」

そんな感じでわちゃわちゃしているのが楽しい。

誰かと比較して優劣をつけるのではなく、個人的にできたとかダメだったという感じがちょうどいい。

仲間がいるなら、あそこはどうだこうだと、それこそ本当はどうかなんて関係なくて、いい意味で楽しく有意義な時間を共有することができたら、それが市民ランナーとしての楽しみ方だろう。

あるyoutuberの方が、キロ5分ペースで20キロ、30キロと走破されていた。

まだ3キロの距離をギリギリ5分で走れるようになったこみちからすると、「凄いなぁ!」と思う。

身も蓋もないことを言えば、そんなランナーでも、プロではなく、市民ランナーだ。

残酷な話で、競い合うという世界では、彼のようなレベルになっても、まだ沢山のランナーがライバルであり、さらに先を行く。

薄々気づいていたけれど、多分、市民ランナーという括りでも、その総数が1万人なら、きっとこみちは99000人あたり。

もっと言ったら、市民ランナー名乗れるのも、何かしらのマラソン大会に出場していないと名乗れないのかもしれない。

だったら「趣味ジョギング」でいいかも。

旅ランを目標にしていた理由

タイムやスペック的な分かりやすい指標にこみちの関心が向くことは気づいていた。

ランニングでいうキロ〇〇分というような目安。

でも、そこを極めることは最初から無理で、どこかでその沼から抜けないと、やがて走ることそのものが段々とつまらなくなって来る。

つまり、そうなることは必然で、そこから先に、どう楽しむことができるのかが重要だ。

そこで「旅ラン」という話になって来る。

旅ランは、走る楽し方に旅としての楽しさを加えたもの。

近所のコンビニまで走って買い物に行くというのも、身近な旅ランだろう。

評判の店や観光地まで走るというのも一手で、何も自宅から全行程をランニングにするとも限らない。

車や自転車、最寄り駅まで公共交通機関を使ってもいい。

大切なことは、どう走ることを楽しもうとするのかだから。

例えば距離に目を向けると、自宅から片道5キロ圏は何かと知っている場所だったりする。

言い換えると自宅出発の場合、往復10キロくらい走るのでは目新しい場所ってある程度限られてしまう。

だからタイム的な意味ではなく、歩いてもいいから20キロくらい移動しないと旅ランもワクワク感が薄い。

ランニングを始めた頃は、片道3キロ先にあるコンビニまで行くのに、前日からシュミレーションをして、ワクワクできた。

「3キロも走れるかなぁ?」と。

でも今の感覚で同じときめきを得たいなら、20キロでは微妙で、30キロから50キロ、60キロあたりになると「できるかなぁ?」という不安と達成感が共存する。

それだけ移動範囲が拡大されると、目指したい場所も増えて来るから楽しみ方も多い。

つまり、旅ランというのは、走る楽し方を続けるエッセンスだ。

最近、3キロ走やダッシュ練習に意識が向いていたけれど、やっとスローペースで長く楽しく走ることに挑戦するベースができて来たのかもしれない。


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