創世記に求められること
時代の始まりは、いつも混沌とした手探りの中から生まれます。
何もないので、何かを作ることから始めなければいけません。
例えば、現代のようにコンビニがなくて、食べ物が簡単に手に入らないとしたら、どうやって空腹を満たすでしょうか。
それこそ、目に入る物の中から、直感的に食べられそうな物を見つけ、実際に口で咀嚼してみるしかありません。
中には食べられるけれど、体調を崩してしまうような危険性のある物も含まれるでしょう。
そんな経験を重ねながら、段々と全体像がぼんやりと形作られる頃こそ「創世記」ではないでしょうか。
現代、そして未来に向かって
食べ物 で言えば、和食、洋食、中華など、世界各国で誕生した食文化が日本にも伝わり、さらに国内で進化することで、一般庶民の口似合う料理として現代の当たり前になりました。
さらに、未来に向かうと、かつての食文化が見直されることもあれば、融合されて統一化され、さらに別の食文化として発展するかもしれません。
なぜなら、「和食」と言っても、関東圏と関西圏では微妙に味付けも異なります。
調味料を比べても、同じ和食でまとめていいのかと思うほど、その差は簡単にまとめることはできません。
でも、大きな括りとしては、無理やりだとしても同じものとして扱うことで、「和食」と言えるのです。
「車旅」というチャンネルでも同様で、「車を使って旅をする」という中にも、そのこだわりや注目したいポイントは全く異なっていて、つまりは未来にはもっと同じものとなって扱われるかもしれませんが、もっと別のものとして捉えているかもしれません。
人気あるチャンネルを作るために
視聴されるコンテンツとは、素晴らしい企画でもなく、高精細な映像でも巧みな編集でもありません。
結論を言ってしまえば、無意識や本能を上手く利用することです。
作り手としては好きでしている状態で、見る側はなぜか見てしまうという流れであることが大切です。
例えば、「なぜか見てしまう」という心理状態を掘り下げましょう。
そこで、「恋愛とは?」というテーマを持ち出した時に、一部の人たちは「今さら恋愛って」と話す前からどう転んでも興味を持ってくれないのです。
しかし、また一部の人たちは「恋愛と聞くだけでワクワクしてしまう」かもしれません。
導入部分は、頭で考えないとその良さに気づかない内容よりも、全く予備知識がなくても見られる方がいいのです。
その方が、潜在的に拒絶される確率を減らせますし、幅広い属性の人から視聴されるからです。
ということは、「車旅」というチャンネルを運営する前に、どれだけ予備知識が無くても見てしまう内容にできるのかを検討するべきなのです。
作り手は、「日本一周」という目標を掲げて動画制作を開始したいかもしれません。
しかし、それでは偶然でもない限り、人気のあるチャンネルにはなりません。
そして多くの場合、どんなに凝った内容を作っても、一年とか数年、全く反響が得られなければ、それだけで自信を失い諦めてしまうからです。
少し前、コロナ禍でソーシャルディスタンスが社会的に広まる頃なら、「車中泊」というワードを軸に視聴者の関心があったはずです。
どんな内容なのかよりも、「車中泊」という車の中で寝ることが楽しそうに思えた時期なので、視聴数も増えたでしょう。
でも、関心ある人たちも、車中泊ということがどんなもので、どんな楽しさや面倒くささがあるのか気づいてくると、単に車の中で寝る姿を見せるだけではもう見てもらえません。
女性の方がサムネで際どいポーズを使うのも、「寝姿」だけでは視聴されないので、もう少し踏み込んだ演出を施したらそうなってしまうのでしょう。
でも、その方法はYouTube も求めていませんし、規約違反に触れるせめぎ合いの演出になります。
しかも、みんながみんな、それを求めて視聴したいのではなく、むしろ「車中泊」からどう展開しているのかに着目したい層にとっては、チャンネル離れを加速させます。
「なぜか見たくなる」心理には、登場人物が不可欠です。
映像だけ流し、ナレーションを付けている番組もありますが、一般的ではありません。
チャンネル主の出演というばかりではなく、街並みを撮影する時も、そこに人がいることで臨場感や雰囲気も感じられます。
全く人影のない高級住宅地を撮影しても、確かに住宅に興味でもあれば別ですが、両側が高い壁の道を眺めても普通は面白くないでしょう。
しかし、例えばそこにラーメンの屋台が出ていて、すでに数名がラーメンを啜っていて、屋台の周りには通行人や立ち止まって屋台の暖簾を潜ろうとしている人もいたりしたら、見ている人は「どんなラーメンなんだろう?」とか「美味しいのかなぁ?」とか、興味が湧きます。
食べている客の会話や、ラーメンを作る店主の手捌き、さらによくよく見ると気になるポイントが出て、さらに映像に引き込まれてしまいます。
例えば、車旅で、訪れた町のどこかで学生を呼び止めて、叶えたい希望や憧れを話してもらえたら、それはそれで面白いコンテンツになるでしょう。
でも、どんなチャンネルかも分からずに、そのチャンネルのために自身の身の上話をしたい人はいません。
視聴者が興味を持つことって、やはり自分ではできないことだったりします。
例えば、交通ルールを無視した事故の映像など、日常的に遭遇することはほとんどありません。
でもそんな映像は、人の関心や興味につながります。
理由や理屈ではなく、もっと本能に近い感覚が動くからです。
つまり、作り込まれた「ただただ美しいだけ」の映像は、5分も経過すると眠気を誘います。
脳が見るのに疲れてしまうのでしょう。
しかし、もしもビキニを着た女性の後ろ姿が、画面を横切ったらどうでしょうか。
ましてカメラが後を追い出したら。
やっと背中が映り、また画面には何も映らない。
そんな時間がしばらく続いたとしても、男性なら数分はなんだかんだで見てしまうでしょう。
見たからと言って、友だちになれる訳でもないのに、「なぜか見てしまう」のです。
そこで、週刊誌を手に取ってみましょう。
幅広く、大人たちが今、気になっているテーマをたくさん話題にしているので、テーマ選びの参考になるでしょう。
ポイントは、無意識のうちに見たくなる内容です。