商品レビューの難しさ

 車の試乗レビューで

車の運動性能を高めたいなら、軽量化と高出力、さらにタイヤなど足回りの強化が大きく関係してくるだろう。

同じ車種でも、グレードによってサスペンションの機構やセッティングが異なるということもある。

同様に、納車された時にどんな種類のタイヤを装着するのかでも、ロードノイズや軽快感、踏ん張るやグリップ力が変わってしまう。

メーカーが車の試乗車として提供する時、それが一般ユーザーに納車される品質と同等なら、レビューも十分に信用できる。

しかし、ワングレード高性能なタイヤや、エンジンの振動を手組みで抑えてしまえば、それは全く異なる印象になってしまう。

何かを評価する時、バランスに優れていると、それだけで不満点を感じないから、特に気になる違和感を抱かせない。

つまり、エンジン特性が優れていても、ハンドリングに違和感があると、「踏めば加速するけれど、直視性に不安を感じる」と言われてしまえば、もう一般ユーザーには「楽しめない車」と受け止められる。

以前、ある自動車評論家がメーカーの提供した車を見て、激怒するシーンをYouTubeで見たことがある。

理由は、納車される車体と異なるサクペンション設定だったからだ。

評論家に「良い車」と言われたい一心で、納車される品質とは異なる車両を試乗車として準備したのだ。

「絶対にこんなことはしてはいけない」

評価家をバカにした行為であり、そのレビューを信じて購入する一般ユーザーを欺く行為でもある。

良い商品とは何か?

それをイメージするために「色」を使うことにしよう。

スタートは「赤」。

つまり「赤」をにした人は、その商品を使っていることになる。

しかしある程度「赤」が市場に浸透すると、今度は「オレンジ色」が注目される。

疎い人には「赤」も「オレンジ」も暖色系として差は感じられない。

しかし、「赤」を使っていた人であれば、「オレンジ色」を見た瞬間、「新作」だと気づくだろう。

そして、「オレンジ色」から「黄色」、さらに「緑」「青」「紫」と経て、再び「赤」へと戻る。

商品には、赤で始まり、オレンジ、青とすべての色を備えることはできない。

中には100%純粋な「赤」にこだわる商品や、傾けると七色に光る商品が登場する。

そんな中で、「良い商品」とは何色を指すのだろうか。

今、この瞬間という条件なら「赤」がトレンドとなる。

しかし、このレビューを半年、一年遅れで見る人には「赤」なのかとなるだろう。

例えば3年くらい前、ヘッドホンではノイキャンが注目の機能だった。

機能を使うと周囲の音が消えて、聴きたい音楽に没頭できるというセールスポイントだ。

一方で、こみちはある大手メーカーで働いた時、実験室の無音室で作業し、平衡感覚まで喪失するような違和感に驚かされた。

というのも、人は無意識に音を感じ取り、足がどれくらいの強さで立っているのか感じている。

歩いても、ジャンプしても全く音が聞こえない不安さは、普段から音を耳している人には恐怖にすら感じる世界だ。

つまり、「静寂」も「静けさ」なら心地よいが、「無音」までくると不安さや驚きの方が強くなってしまう。

ヘッドホンの商品化を考える時に、「音を消すこと」だけが問題ではなく、「心地よい静けさ」を目指しているはずだ。

そんな背景を踏まえるなら、ノイキャンの目的は消音ではなく、不快感の軽減である。

つまり、ノイキャンを作動させた時に、耳が詰まるような圧迫感が生じ、それでも音楽が心地よいとどれだけの人が感じてくれるのかがポイントになる。

「無音」は健康を害するくらい不快な状況で、でも人はノイキャン性能を体感してみたいと思う。

個人的には、耳栓をしたくらいが限界値で、ヘッドホンではなくカナル型のイヤホンを使えば、ノイキャン性能などなくても音楽を鳴らせば周囲の音も必要最低限に抑えられる。

飛行機の機内でエンジン音を抑えるためにノイキャンは便利だが、エンジンが発する振動までは取り除けない。

音はしないのに、振動は感じる。

それでも本当に心地よい状況だろうか。

極端にバランスを欠いた状況で、ある部分だけが取り除かれても、やはりトータルとしての満足感は得られない。

つまりは、ノイキャン性能もほんの少し効いているくらいが良くて、明らかに感じ取れるレベルでは効きすぎているかもしれない。

例えば2つのイヤホンがあって、それぞれを順番に聴き比べた時に、その瞬間に明らかな違いを感じたなら、その人は心地よいと思ったイヤホンを使えば良いだろう。

しかし、一回では判断できず、2度も3度も聴き直して、その結果「低音域に差がある」というようなレビューをしたなら、一般ユーザーにとって必要とされる情報と言えるのだろうか。

1つにはレビューした人の「音楽」を聴き取る能力であり、もう1つは平均以下の聴力しかないこみちのような耳の持ち主がその違いを感じ取れるのかである。

例えば、あるレビューする人が、誰かによって設定されたイコライザーの設定を、聴力だけで良い当られたなら、その人のレビューには一定の評価があるだろう。

それが、低音、中音、高音ごとのレビューから、全体の印象へと曖昧になるほど、ヘッドホンやイヤホンの出力を正確に感じ取れているとは思えない。

というのも、こみちは趣味で絵を描くのだが、「情報の豊かなモチーフ」よりも「十分ではないモチーフ」の方が格段に難しいと感じている。

もう少し具体的に言うと、より高水準の情報量を持った音楽よりも、日常的に使いやすいある程度音質を下げた音楽は聴き取りにくいはずだ。

これはコーデックという部分にも関係していて、そもそもAACでも十分に思えるこみちのようなタイプで、音質を気にする人がどれくらいいるだろうか。

もっと言えば、利便性を重視してワイヤレスを選択する人が、本気で高水準の音質を期待しているとは思えない。

あくまでも手軽に、少しでも良い音質で音楽を楽しみたいという目的だろう。

つまり、本当に高水準の音を感じ取れる人でも、手軽さに目的を合わせて作られた音の中で、より高音質の音を見つけるのは困難だろう。

結局のところ、コスパという面で、どれくらいの音質を求め、利便性をあるのかに尽きる。

こみちのように3千円のイヤホンでも十分に楽しめる人がいれば、1万円のイヤホンが良いと感じる人もいるだろう。

3万円のヘッドホンとの差は明らかに感じ取れるが、こみちの場合には5千円くらいの価格差ではもう差が分からない。

実はfinalのZE3000を聴いて、「んんん?」となってしまった。

前から気になっていて、その評判から気になって仕方がなかった。

でも、1万5千円前後で購入できる一台に、過度な期待をし過ぎたのかもしれない。

もちろん、試聴したのは自宅のような落ち着いた環境ではないし、どんなコーデックであったのか、音源は何を使ったのかも詳細は分からない。

しかし、同価格帯のイヤホンと比較して、一長一短だったのは個人的な感想だ。

好きな方を選べば良いし、好みに感じた音質を選べば満足感も高い。

ただやはり「価格」は正直で、10万円の音質は数万円のそれとは違う。

それだって数百万円するシステムを組んだ環境には及ばない。

こみちの場合はダイソーの1100円のイヤホンでもそれなりに楽しめる。

聞き比べたらやはり違うのは感じるが、不満かと言うとそんなことはない。

まぁ、final のイヤホン、価格帯を考えれば十分に良い音だ。

こみちの場合、どうしても良い音が聴きたいならヘッドホンを使う。

イヤホン同士で比べるならという前提条件で考えるからこそ、個別のレビューって成立する。

final のイヤホン、こみちの耳で聴いた時に中高音域に薄っぺらさを感じてしまう瞬間があった。

自分の聴力を信じていないので、聞き違いも含めて「ん?」と思ったのだが、別の同価格帯のイヤホンではそう感じなくて、もう一度聴き直してもやはり同じところで「ん?」となった。

「そうか、この辺が限界なんだ…」

そんな風に思ってみた時、倍以上するヘッドホンがより良い音だとしても不思議はない。

つまり同価格帯で比較して、望んでいる機能が十分に感じられることが商品としての価値なのだろう。

そして、低価格でも十分に機能する商品はコスパに優れていて、適切なコストも掛けないと価格を抑えることで品質まで下がってしまう。

極限の性能を発揮する商品が注目される一方で、基本性能をいかに低価格で提供できるのかもまた有益な商品となる。

優先順位が違うだけでも

例えば、イヤホンでノイキャン性能が外せない人には、finalのZE3000は早々に除外されるでしょう。

音質を維持しつつ、さらにノイキャン性能も加えるとなるとそれこそ3万円クラスのイヤホンから選ぶしかありません。

一方で、ZE3000と同価格帯でノイキャン性能付きというなら、Ankerのようなイヤホンが候補に入るのでしょうか。

しかし、ノイキャン性能をオンにした時、静寂さを手に入れる代わりに、音質の劣化は気になるところ。

そんな風に考えると、こみちなら通勤などの人混みには行かないのでノイキャン性能は求めませんし、できるだけ音質に振って欲しいと思います。

つまり、GEOの2000円で買ったイヤホンの延長線上にあるのがfinalのZE3000なのです。

さらに高額なイヤホンで気になるのが、音質最優先でVictor HA-FW1000TとNoble FoKus PRO。

オールラウンドな使い方では、Technics EAH-AZ60。

とても手が出せる金額ではないので、いずれの商品もすぐに購入することはありませんが、それぞれの目的に応じて期待以上の性能を発揮してくれるイヤホンたちでしょう。

5000円から1万円辺りの価格帯が本当に難しく、どれが良いのかよくわかりません。

こみちの場合、3000円以下のイヤホンから買い替える時に、ノイキャン付きで同程度の音質なら購買意欲は高まりません。

中高年の耳でも明らかに高音質と聴き取れる前提で考えると、予算や使い勝手まで含めてfinalのイヤホンに戻ってしまいます。

イコライザーも最初しかいじらないし、ノイキャンもいらないし、とにかく簡単に使えそうで音質が良いという基準になるからです。




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