「日本一周」もいいけれど「放棄分譲地」って何だ?

 キャンピングカーライフを継続ために

例えば「住宅」から「キャンピングカー(車上生活)」に切り替えた時に、「住民票」の問題には注意しなければいけません。

「住民票」そのものというよりも、国内にいながら「行政」との関係を完全に断ち切ってしまうと、再び回復させるのが容易ではないからです。

例えばキャンピングカーライフを継続できない事態が発生し、改めて借家を探しても契約時には氏名のほかに「住所」が必要です。

厳密な書類になるほど、「住民票」を添付させられるでしょう。

つまり、個人を特定させる上でも「住所」を失うことはとても大きな問題だという話です。

異国の場合は分かりませんが、国内である限り、何らかの方法で住民票を維持しながらキャンピングカーライフを始めることが大原則でしょう。

「放棄分譲地」とは何か?

そもそも国内の「土地」や「建物」などは「不動産」と呼ばれていますが、この「不動産」の対義語が「動産」で、いわゆる時計など手で持って運べるような類いを指しています。

つまり、「土地」や「建物」は動かすことができないから「不動産」と呼ぶそうです。

なぜ不動産と動産を区別するのかを調べると、「所有権」の表記方法に行き着きます。

「所有権」とは、それが「誰の持ち物」なのかを示す手段ですが、動産の場合は「持っていること」で、不動産の場合は「登記」で行います。

つまり、建物や土地を占拠した状態であっても、「登記」によって所有権が決まるので、動産のように「使っている」とか「その場にいる」という使用状況では決まりません。

ただし例外もあって、「時効取得」という考え方もあります。

深掘りできるほど知識がないので、簡単に言うと「事実上の状態(その土地を問題なく使い続けている事実)」を尊重し、登記によって別の所有者がいても、継続使用した人の今後を尊重し、土地や建物の持ち主を名乗ることを法的に認めています。

そして、今回のテーマとした「放棄分譲地」ですが、全く使用していない(使用できる状況にない)土地を相続などで譲り受けた人が、仮に複数名いたとしましょう。

最初は持ち主の兄弟や子どもたちになりますが、そもそも相続した事実を知らないとか、知っていても遠くて見に行くことが難しいなどで「放置」状態となったまま、彼らがまた相続によって子どもたちに権利を譲ったというような状況が何世代にも渡って続くと、土地の所有者は10名とか20名とか、場合によってはもっと多くの、複雑な人たちによって所持されていたりします。

もしもある不動産屋から、キャンプ地に適した「原生林」を購入し、代金も払い終えたとしましょう。

持ち主になったので、「登記」したいと考えた時に、「誰のものだったのか?」を実際に調べてみると、全国各地に点在している複数名の持ち物だと後から知ったとしたら、どんなことが起こるでしょうか。

一名ずつ所在先を調べて連絡を取り、売買契約による「所有権移転登記」をしてもらうとなると、どれだけ個人で遂行するのが大変か分かるでしょう。

代金を支払った不動産屋が対応してくれればいいのですが、その連絡網も遮断されれば、法的には購入した土地に建物を建てても「登記」できません。

なぜなら、「土地」に対する所有権を主張できない状況なので、とても不安定な根拠で使っていることになるからです。

「放棄分譲地」となった理由はもっとたくさんあると思いますが、言えるのは「再利用」したくても容易に手が出せないということで、間違えてそんな土地を購入してしまうともう売却もできないので、代金分損をしたということになるでしょう。

「司法書士」になったら関わる事案

弁護士が刑事事件や民事訴訟の代理人として活躍するように、司法書士は少額の民事訴訟の他に不動産の「登記」を担当しています。

持ち主が明確な土地であれば、「登記」の手続きも手順に沿って行えば素人でもできる内容です。

しかし、見知らぬ第三者から不動産を購入、又は売却するとなった時に、そもそも相手が契約上の「本人」である保証はありません。

本人であることを示す手段として「住民票」がありますが、例えばそれが偽造されたもので、一見すると本物と信じてしまえたとしましょう。

そして土地を売却又は購入したという場合に、代金を支払った又は土地の所有権を先に移転させてしまったという事実があって、その後に相手が土地の持ち主ではなかった場合や代金を一向に支払ってもらえないばかりか、移転された所有権が既に別の第三者に登記されていたとなると、法的にも土地の所有権争いはこじれます。

実際にはこじれることはなく、「登記」事実が優先されるので、そこに間違いが生じているなら、民事訴訟で事実関係を争うことになるでしょう。

考えただけでも、それはとても大変な話で、個人にとって5年や10年という長い期間、土地問題で悩み事になります。

そのような大変さを考えると、司法書士事務所で手続きを行い、法的なアドバイスを受けられる方が後の大変さを考えると有益です。

キャンピングカーで「日本一周」?

観光地や名所を気ままに訪れた日本一周も動画コンテンツとして興味深いでしょう。

しかし、視点を変えて、全国各地に存在する「放棄分譲地」を紹介し、さらにはそうなった経緯を国内の経済状況や発展に照らして解説するのもテーマとなり得ます。

最近でも、自然災害によって事件事故がニュースで放送されますが、「土地」の歴史や人々の生活の変化を伝える動画コンテンツもネタとなるでしょう。

深掘りしてみると分かって来る「今の姿」の背景を伝える視点も、「日本一周」のテーマになり得るはずです。

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