最近のキャンピングカー系動画の基礎調査
結論から言ってしまえば、「キャンピングカー系動画で魅力を伝えられないのか?」ということ。
撮影方法だけではない「もどかしさ」が、まだまだキャンピングカー系動画を観て感じてしまう。
「個性」が強いと、それだけ「嫌悪化」を招き、思ったような視聴結果が得られない。
しかし、今更ありきたりで平凡な内容では、そもそも視聴されるまで行かないということだろう。
例えば、テレビ番組にあるようなサイコロ企画で、サイコロを振って「進んで行く」という番組構成がある。
駅だったり、バス停だったり、その設定は番組ごとで異なる。
また、行き先で「食事処」を探したり、「気になる人にインタビューする」など、そこで何を行うのかも番組の方針次第だろう。
そして、出演者は、番組の看板となる「メイン」、さらにアシスタントとなる「サブ」、さらに「ゲスト」という構成が基本だ。
メインが男性ならサブは女性、さらにアシスタントは入れ替わりということもある。
年齢層を広げ、男女混合にすることで幅広い視聴に耐え得る「お茶の間」番組となる。
まず現時点で、テレビ番組と同質のYouTube コンテンツは滅多に見ない。
当たり前だが一本撮影するコストが違い過ぎる。
言い方を変えれば、YouTube 動画で、テレビ番組を真似た構成を目指すにも、時間的にもコスト的にもキャスティング面でも課題が多い。
では、YouTube で視聴されるキャンピングカー系動画とは何だろうか。
気になる車種のレビュー?
車窓から見える景色?
テレビ番組にあるような出演者同士の楽しげなやり取り?
その動画はフィクションなのか?ノンフィクションなのか?
凄い下世話な企画を立ててみる。
中年の男性が一台のキャンピングカーで日本一周に挑戦する。
出発は東京都、東京駅を選んだ。
一人では絵面的に面白くないので、サイコロを振る。
6面それぞれに何か文字が書いていて、男が画面に向かって説明する。
金髪美女。女子大生。主婦。おじさん。動物。スペシャルゲストと書いてある。
出発前のキャンピングカーの脇で、そのサイコロを男が振る。
されさて、何が出るか?
番組の構成上、サイコロで何が出るのかわからない。
なので6人を待機させることになるが、フィクションなら出るまで何度もやり直して、お初のリアクションで話は進む。
今回は大当たり「女子大生」。
男は飛び跳ねて喜ぶ。
「どこどこ、早く早く」
めちゃくちゃ可愛い子が登場するのか、確かに女子大学生だけれど一般的にイメージするタイプとは違う場合もある。
どちらで構成するのかだが、初回放送なので「美女」を選ぼう。
「こんにちは、はじめまして」
本当は撮影前に名前も趣味も、出演に至った経緯も把握しているが、「お初感」が大切なので、「うわー、めちゃくちゃテンション上がる!!」と中年男が年甲斐もなくはしゃぐ。
「お名前は何て言うんですか?」
男に促されて、その女子大生はなぜかカメラに向かって名前を名乗る。
最近の若い子は美女が多いが、そんなレベルではない。
なぜって、どこかのプロダクションから紹介されたこれから売り出したい「女の子」だからだ。
「本当に女子大生?」
女の子が持っている荷物をさりげなく受け取り、キャンピングカーの後部に男が乗せてくれる。
「まぁまぁ、話はおいおい。助手席に乗ってもらえますか?」
そんなこんなで出発シーンは約3分。撮れ高はまずまずだろう。
いざ出発したのだが、運転している男に、白々しく女の子が「手紙」を渡す。
「なになに?」
お約束のリアクションを取りながら、二つ折りの手紙を開けば、「キャンプ道具を3万円で購入する!」と太い文字で書かれていた。
すぐに状況が分かったのに、男は「キャンプ道具? どこで買うの?」などと言い、「どこで買うの? オレ、お金持っていないよ」と続ける。
「そうそう、これも」
空かさず女の子から「3万円」を差し出され、男が「あんた何者なの?」とまた白々しいリアクションを取る。
「売ってそうな店調べてみましょうか?」
検索を始めた女の子から、数キロ先にあるアウトドア専門店を教えてもらう。
「おお、良いじゃん。そこ行こうよ!」
とりあえず二人は、店に着くまでドライブすることになる。
「本当に大学生なんだ。〇〇大生かぁ、頭いいねぇ」
女の子のことを中年男がニヤニヤしながら嬉しそうに質問する。
「ここ大事。彼氏はいるの?」
「いません。もう半年くらい」
お決まりのやり取りがあって、「42歳だけど、イケる?」と真剣に質問する。
「無理です!!」
「無理かぁ〜」と残念がるのも予定通り。
本当ならこれ売り出したいタレントのたまご。
あえてガツガツとアピールしないのも、視聴者に情報を探してもらう仕掛けの一つ。
そしていよいよアウトドアショップに到着し、二人は店内へと入って行く。
「ここ、随分と広いなぁ」
男が開放的な店内を見渡してひと言。
女の子が後ろからついて来るが、「バーベキューしたい」と言い出す。
「バーベキュー? だったら「焼く」のとかか?」と軽くのり、店内を満たして焚き火台を見つける。
このまま二人のやり取りでも良いが、ショップ店員が現れて最近のキャンプ道具事情を説明してもいい。
「いきなり、あんた誰よ!」
楽しい二人の間に、めちゃくちゃかっこいい男性店員が割ってきて、男が不満そうに言う。
「この店の店長をしている〇〇です」
「どっちがカッコいい?」
男がいい終わる前に、女の子がイケメン店長を指差す。
「おいおい、まだ言い終わってないし!」
「ありがとうございます♪」
「ありがとうじゃないわ!」と男が言い終えて、キャンプ道具の紹介へ。
大きなカートに、コンロ台、鉄板、トングなどなどを買い込み、お支払いへ。
「3万4千円です」
レジを打った店員に言われて、とりあえず「3万円を出す」。
もちろん店員はまだ待っている。
「もう無いって」
男がどうしたら良いのかと女の子の方を向く。
差し出されたのはキャッシュカード。
「カード!? これオレのじゃん!!」
結局、支払いは男のカードで済ませることに。
キャンピングカーに買った商品を積み込み、男が先に運転席へ。
でも女の子は車に乗らない。
「エエ、どうしたの?」
窓を開けて、車内から外に立っている女の子に話し掛ける。
「今日はとても楽しかったです。ありがとうございました」
深々とお辞儀をして手を振る女の子。
「嘘でしょ? だって荷物、貴女の積んだままだよ?」
「食材です。バーベキューの」
「…。どう言うこと?」
「楽しかったです。ありがとうございました♪」
「これ、マジなパターンか?」
男は状況を受け止めて、キャンピングカーを運転し始める。
手を振る女の子が段々と見えなくって行く。
「さて、どうしようか?」
バーベキューセットを積んでいることは確かで、男は「キャンプ場」を検索することに。
まず、これが日本一周の第一話となる部分。
二話三話と毎回、いろんな人が登場し、段々と東京から離れた遠くへと旅が続く。
笑える回もあれば、少し寂しい回もあって、観光地にも足を伸ばすけれど、なんでと思うようなことを男が引き受けて始めることもある。
漁に出たり、農作物の収穫を手伝ったり、男の意外な一面も段々と分かって来る。
大きな仕掛けは、男の過去。
ある程度、話も進展し、東京から北上して北海道は札幌市に向かう。
「実は、10年前に別れた奥さんがココにいるんですよ」
といきなりの告白。
「この企画を始めた時に、北海道にも行くってSNSで伝えたんですよね」と。
「本当にノリ。ノリで会おうと思います!」と何やら凄い展開に。
画面には顔を似顔絵で隠した女性が映る。
「オレの奥さん」
「元ね!」と突っ込まれる。
「元気そうだね」
「元気よ。日焼けしたねぇ!」と元妻が男の体に手を伸ばす。
「焼けるさ。農業とか海にも出たし!」と説明する。
「あのさぁ。再婚してるの?」と男が言う。
「再婚はしていない」
「していないけど…」
「お付き合いさせてもらっている人がいます」
「……。幸せ?」
「うん」
「良かった。それは何より」と男は元妻と10年ぶりにハグをしてその場を離れることに。
「会ってくれてありがと。良かったら、チャンネル登録と高評価をお願いします」
「サイテー」という元妻も顔は見えないが笑顔に見える。
例えば、こんな企画を始めたら視聴されるだろうか。
ノンフィクションではなく、フィクションだから、全てが仕込みということ。
毎回、動画の最後がメーキングになっていて、NGシーンも楽しめる。
どれくらいの予算があればできるのかなぁ。
でも、キャンピングカーの紹介動画も必要だけど、こんな風にキャンピングカーをテーマにしたドラマ設定のコンテンツもできたら面白いと思いませんか。
誰か頑張ってほしい。