キャンピングカー選び
キャンピングカーで「家」を目指すのはそもそも不可能です。
つまり、キャンピングカー選びで「全部盛り」などありません。
例えばNUTSのボーダーバンクスの魅力は居住性にあると思いますが、もう少し掘り下げるなら「家で使うサイズ感」があることでしょう。
初めてボーダーバンクスの車内に入った時に、それこそ全長5メートルサイズのキャンピングカーと比べて、無意識にでも手狭さを感じさせません。
逆を言えば、標準サイズのキャンピングカーは、それだけ僅かなスペースも有効に活用し、限られたサイズでいろんな機能を盛り込んでいるとも言えます。
これがもしも、大きな車体故に、お風呂や洗濯機まで搭載しようとすると、ボーダーバンクスは今のような評価を得られていなかったはずです。
一方で、全長5メートル、横幅2メートルのサイズには、一般の自動車と同じスペースに駐車できることを担保しています。
大きくすればそれだけゆとりが生まれる。
でもその代償は「駐車場」に現れます。
どこかに出掛けた。でも、簡単に停められる所がない。あったとしても、周囲の一般車両の迷惑になってしまいそうだ。
もしもそんな風に感じてしまうので有れば、購入する際に自分が求める使い方にあった「サイズ感」を決定するべきでしょう。
これはキャブコンよりも手軽に思えるバンコンでも、たとえばハイエースのワイドロングボディーとなれば全長も全幅も一般的ではありません。
実際問題、一般車両の駐車場に停められなければ、中型大型用の駐車場を探すか、空いている駐車場にひっそりと停めさせてもらうかになるでしょう。
キャンピングカーを買って何をしたかったのか。「時間にも場所にも縛られずに自由な車旅をしたい」ということなら、やはりサイズは購入する時に無視できません。
こみちはキャンピングカーで例えば車内をオフィスとして使い、日中は文章を書いたり、イラストを描いたり、又取材する場合にはそこを拠点として使いたいです。
乗車するのは多くても二人。乗せるのは妻だけです。
家を売り払って、車を家代わりに使うつもりはありません。
長くても一週間。場合によっては1ヶ月くらいを想定しても、数ヶ月一度も家に戻らないというスタイルは考えられません。
それはつまり、ゴミ捨てと洗濯、調理、入浴をどう扱うのか。
キャンピングカーが「家」にはならない理由として、完全に循環サイクルが確立できないからです。
全国各地にあるのは、ガソリンスタンドとコンビニ、コインランドリー。
つまり、ゴミ捨てと入浴が簡単にはクリアできません。
もちろん道の駅などにも入浴施設が使えたりもしますが、男性一人の場合と夫婦での旅中では同じ感覚で解決できないことも忘れてはいけません。
こみちが未だにキャンピングカーを購入していないのは、もちろん予算という問題もありますが、この「入浴」が夫婦となると簡単に解決しないこともあります。
「ホテル」や「民宿」の方が便利なら、車選びの根底が覆され、それこそ入浴の問題だけでなく場所を取るベッドも必要ではありません。
気軽さと快適さを考えると、ホンダのフリードで十分に思えます。
この車なら、2列目3列目シートを日中の作業スペースとして、そこでパソコンを開いたり、食事をすることもできてしまいます。
もちろん、キャンピングカーの装備には及びませんが、その分機動性では格段にメリットがあります。
例えばハイエースのナローボディーは、全長も全幅も十分に一般車両の駐車場に停められるサイズで、かなりコンパクトではあってもキャンピングカー仕様に改造されたモデルも見つけられます。
8ナンバーにこだわり、ポップアップルーフを選択するのも良いですが、逆に割り切って8ナンバー登録を諦める代わりに「箱」としての利点を活かすこともできます。
リトリートシリーズに見られる割り切り感は、せっかくのキャンピングカーだからという盛り過ぎを見直し、本当に必要でしたいことだけにしたら「これだけで十分だった」というコンセプトなのでしょう。
日本特種ボディーのキャンピングカー
日本特種ボディーは、先日行われたジャパンキャンピングカーショー2022には出展していなかったはずです。
というのも、キャンピングカーの製造販売を行う業界団体に入っていないこともあります。
一般的なキャンピングカーを製造販売している会社の場合、購入されたお客様の車が旅先で故障したような場合に、全国各地に支店を展開している大きなメーカーなら別ですが、どうしても一店舗ではカバーできません。
そうなれば、業務提携や横とのつながりを無視した経営は、何かと顧客満足度をアップさせるには不便です。
その意味では、日本特種ボディーのキャンピングカーは、ビーカムといういすゞ自動車が独占的に提供している車両で、またキャンピングカー購入時に日本特種ボディーだけでなく車両面のメンテナンスを全国各地に存在するいすゞ自動車の支店で行ってくれるそうです。
何気ないことに思えますが、キャンピングカー販売を行ううえで、車両のメンテナンスが担保できれば、それだけ安心して販売できるでしょう。
そして、新型サクラが発表された時、内装の色調からデザインまで、従来のキャンピングカーとは全く異なる訴求力があります。
しかも「電気」に強みを発揮させ、カセットコンロさえ常設しない割り切りと、車両サイズも5メートル×2メートルにはギリギリ収まりませんが、それでも何とか一般車両と同じ駐車スペースに停められるサイズ感です。
この辺りの「やり過ぎない」あたりが、他のビルダーとは異なる魅力でしょう。
そして、新たに登場した「EAGLE」と名付けられたまんまトラックのようなキャンピングカー。
その大胆な割り切りは、キャンピングカービルダーが隠していた見せたくない部分まで曝け出し、そこから新しい提案へと繋げています。
曝け出したのは、キャンピングカーのキャビン部分。
全体を一体化されたシェルで覆うことで、キャビンはとても大きく思えます。
しかし実際には車としてのシャーシがあって、床は思いの外高い位置に存在します。
じゃあ、今までデザインで隠していた腰高感を隠さないで、まるでトラックの荷台でいいじゃないかという大胆な発想が、「EAGLE」にはあります。
知らない人は、窓付きのコンテナでも運んでいると思うでしょう。
でも実際に車内に入ると、冷蔵庫や電子レンジ、エアコンもあればトイレも使える。
食事スペースにもなれば、二人ならソファーで寝転んでしまえばいい。
ゴミ捨てと入浴はそもそもキャンピングカーでは難しいのだか、そこはごっそりと研ぎ落として、「車外のインフラを使ってください」としたことで、「EAGLE」が得意とするスタイルが明確です。
個人的には就寝定員のために設けられた天井から降りてくるギミックも省いて、もっとリーズナブルな価格設定ができれば、キャブコンを狙うユーザーを巻き込めそうに思えます。
まだ知らない方がいたら、ぜひ一度、日本特種ボディーの「EAGLE 」をチェックしてみてください。