キャンピングカーの魅力って何だ?
中高年になると、今までの日常にマンネリ化を感じる。
そんな時、キャンピングカーショーなどに足を運ぶと、少年時代にバイク屋で原チャリを買ったことを思い出す。
原チャリって、法的には時速30キロしか出せない。
かと言って40キロを超えると、身の危険を感じるほど不安だ。
まして、400とか750とか、フレームのしっかりとした車体に乗ったことがあると、原チャリで飛ばすことがどれだけ危ないのか分かるし、乗ったとしても何車線もある大きな国道ではなく、市街地の裏通りを移動するのに使いたい。
さてさて、「ハッチを開ければ0秒で絶景!」という言葉は、文字を変えると割とどこでも見かけるキャンピングカーの魔法の言葉かもしれない。
ストレスを抱えた社会で生きるからこそ、目の前に広がる青い海と空を時間も気にせずに眺めていられたら…。
そんな感情が浮かび上がってくるだろう。
しかし、実際には屋外には虫もいるし、視界の外れにはゴミだって捨てられている。
好みではない臭いが漂ってきたり、隣りから騒音だってしてこないとは限らない。
でも、言い出せば何をしてもイメージとは違うし、それこそ最新の有機ELテレビで4K放送を眺めた方が落胆も少ないし、手軽だったりする。
このまま、あるネット記事で、キャンピングカーに後付けした冷蔵庫の故障から出火したというニュースを知った。
家でもコンセントの埃がショートを生み、最悪な場合には出火することも十分に想定される。
まして、狭い車内で、常時接続しっぱなしの電化製品に囲まれていたら、それこそどこで漏電やショートしてしまうかは疑問だ。
当然だけど、内装の素材には難燃性のものを使いたいし、二酸化炭素中毒を防止する意味でも車内調理するなら換気扇も必須だ。
家なら当たり前のことが、キャンピングカーになると省かれてしまうのは、やはり「車」という範疇だからだろうか。
一時期、道の駅などにキャンピングカーや一般車両が車中泊目的で集まって、それがとても人気となった。
でも実際にしてみると分かるが、家とは違うし、テント泊とも違う。
日本は世界的にも治安が良いと思うが、それでも事故や事件と皆無ではない。
まして、夜中になると、日中の穏やかさは何処へやらで、歩いて敷地外れのトイレまで歩くことさえ不安を感じる。
成人男性のこみちでさえそうなのだから、女性だけとか一人旅となるとそれなりの覚悟と予防策は必須だろう。
家にいるなら、女性も一人も関係なく、それこそいつでもトイレに行けるが、キャンピングカーを使うということは、近所に知り合いもいないし、たまたま夜を明かす場所に決めた見知らぬ土地で、周囲の人さえよく分からない中、朝を待つしかない。
「ハッチを開ければ…」
そんなに夜が楽しかっただろうか。
風や空耳にしたい物音に、「誰かいるのかも…」と寝付けないこともあるはずだ。
キャンピングカーも管理された宿泊施設を利用するべき!
しっかりとした宿泊施設をどこまで安全性の高い施設と考えるのかは個人の見解を待つしかないが、こみちとしては宿泊施設に管理者がいるとか連絡できるというラインはキープしたい。
誰もいない場所で、ポツンと車中泊をしていて、急に体調不良が起こった時に、救急処置の時間が生存率に大きく影響することは少なくない。
つまり、人里から離れるということは、それだけ万が一の対処も遅れることを意味し、それこそ自己判断」に任せるしかない。
こみち自身も二十代前半の頃には、そんなリスク回避よりも楽しむとか挑戦することが優先していたし、まさか自分が危険に巻き込まれることなど無いと思っていた。
しかし、人の心理というものを知るにつれ、最初から悪人として生まれる人は稀で、大半の人は社会で生きる中で躓き、恨みを持つ。
そんな感情の小さな芽は、ひょんなことで成長し、結果として想像もしていなかったようなことをしてしまうこともある。
なぜ、黄色から赤色に変わろうとしている信号を見て、止まることを選択しなかったのだろうか。
「ギリギリセーフ」のギリギリは自身の感覚で、意外と側から見れば「アウト」だったりする。
でもそれが大きな事故になっていないから、その行為が問題となることもなく終わった。
「これだけなのに?」
そんな自分的には不運と思うようなことが、何度も続けば、自分は不幸な人間だと思うだろうし、もしも同じようなことをして上手くいった人をみれば羨ましくも感じる。
気になった疑問はだいたいが大きな問題点
例えば、キャンピングカーのゴミ捨てや使用済みの汚水処理はどうしたらいいだろう。
キャンピングカーというと、エアコンや冷蔵庫、電子レンジにトイレまで完備しているモデルもあるから、家同様に使えると思ってしまう。
でも、洗濯機は大半のモデルには無いし、風呂は流石になくてシャワーがあるといい方だ。
しかし、シャワーを使えばかなりの湿気が発生し、放置すればカビと誘発する。
最も、シャワー用に使う水を持ち運ぶとなれば、走行性能や燃費の悪化なども気になるだろう。
便利にするには、その準備や対策も必要で、キャンピングカーを普段使う家のような気持ちで使っていると、そこは大きく認識がずれてしまう。
キャンピングカー業界の苦渋
以前はキャンピングカーをオフィス的に使って、車内で仕事をしながら旅も同時にできたらと思っていた。
しかし、日本でそんな生活をしている人が少数派なのは、それだけ社会ではリスクも大きいからだろう。
特に「住民票」が車を所有しているだけではできないことで、どこを旅しようとも行政に届け出る住所は確保しないと始まらない。
つまり、この住所を失うとホームレスとなり、社会的な制度を受けられないことも起こり得る。
先ずは健康保健証のようなものは、住民票に書かれた住所に送られるから、それが無いと医療費が原則全額負担になってしまう。
まして、健康保健の未納は特に扱いがシビアで厳しいから、「必要ないから支払わなかった」では済まされない。
要するに、キャンピングカーで旅をすると言っても、それは移動手段に過ぎず、やはり住まいは別の場所に構えていて、もしくは届け出た住所に誰か頼れる人が住んでくれていて、随時連絡できる状況でなければ、長期の旅などそもそも無謀な話なのだ。
想像だけの時には、自由に見えるキャンピングカーでさえ、現実を見始めると様々なことが分かってくる。
そんなリスクを全てすっ飛ばせば、キャンピングカーでいきなり旅に出てしまうこともできるだろう。
しかし、ある程度のリスクや準備を考えたなら、良いところと注意するべきところを理解して、楽しく旅に出て欲しいものだ。
「ハッチを開ければ…」
たまたまある記事を見て、まだそんな言葉でキャンピングカーを語っているのかと思ってしまった。
本気でキャンピングカーを広く浸透させたいなら、そんな表面的なイメージは止めにして、もっと成熟した熱意を感じたい。
昨今では、250のバイクも随分と高額になって、気軽に楽しむなら125クラスが手頃だ。
まして、リッターオーバーのバイクなど、車が買えてしまう金額で、かなり高貴な趣味になってしまった。
その意味では、キャンピングカーの浸透には不利な状況も多い。
金額を抑えるために、ある程度強固な車両でなければ重過ぎてしまうからで、積載量の小さな軽自動車を使えば、トラックベースのキャンピングカーと同じにはならない。
じゃ、その制限の中で、軽としての魅力をどうアピールしていけるかがポイントだ。
寒い朝、冷え切った車内に乗り込んだ時に、この車で冬の一夜は越したくないと思う。
車内の断熱と車内スペースの両立。
かなり難題だろう。
でもそれは原チャリで60キロとかもっと速い速度を目指すようなものだ。
キャンピングカー業界が、どうしてもイメージ優先になってしまう傾向も致し方ない実情なのだろう。