なぜ、「車中泊」では本当の意味でビジネスにできないのか?

 YouTube コンテンツだから成立している!?

ビジネスで最も重視されるべきは、商品やサービスの安全性だろう。

よく、自主回収やリコールという形で、企業が商品の瑕疵を修繕するというニュースを耳にする。

また広告によって商品やサービスを消費者にPRする場合も、その企業としては問題がないと思ったという自主判断ではなく、公平な視点で誤解や誤認を誘導するような文言や表現は景品表示法などで制限されている。

一方で、YouTube におけるコンテンツは、あくまでもそのチャンネルを運営している人の主観に過ぎない。

つまり、あるキャンピングカーを企業からの依頼を受けて、自身のチャンネルでレビューするような場合、テレビ番組なら「これはCMです」というような表示をつけて、視聴者に宣伝であることを伝えていたりするが、必ずしもそんな風には明言されず、「お借りした車をレビューします」という具合に、暗に企業からの依頼案件であるような雰囲気を出すに過ぎない。

企業にすれば、自社で広告する場合に当然、言い難い部分や事前に触れておくべきことがある場合、依頼案件という形で告知してもらえたら都合の良いこともある。

まして、チャンネル主は、主観だったとか、気づいた点を意図的に隠蔽している訳ではないから、もしもその紹介レビューを聞いて購入した人が現れても、それは購入者の自己責任になってしまう。

気軽に一般人が企業同様のスタンスでレビューする場合、「誰が責任を負うのか?」の部分で大きく異なっている。

車の試乗動画などで、プロの自動車評論家が試乗車について、とても曖昧な表現で「瑕疵」を告知しているような場面がある。

それは、伝えなければいけない事実と、それが有ると無いでは商品価値に大きな影響を与えかねないというギリギリの選択に迫られた「プロ」らしいテクニックとも言える。

商品の欠点や劣る部分を気づく限り告知するようなプロの自動車評論家が存在しないのは、企業の方からも車を貸し出さないという手段で、ある意味、仕事を請けさせなくなってしまうからだろう。

その点では、YouTube の誕生で、例えば欠点やダメな部分しか告知しない自動車評論家が「歯に物を着せぬ」と称賛される時代とも言える。

ただ、欠点を羅列しているだけでは、望んでいる視聴者も増えないだろうし、ビジネスとして成立するのかというと厳しいのではないだろうか。

「車中泊」はキャンピングカーの唯一無二のワードだろうか?

例えば、住宅では火災報知器の設置が義務化されていることもあって、新築の住宅では当たり前の装備になっている。

一方で、消化器の設定に関しては、アパートやマンションのような共同住宅と戸建てでは扱いが異なるらしい。

また、8ナンバー登録されたキャンピングカーの場合、車内調理に必要な条件に適合しているとも言え、逆を言えば8ナンバーではない車での車内調理が認められているのかは明言できないことになる。

道の駅等での車中泊が、どのような場面で容認され、また車内調理がどこまで許容されるのかは、自治体や業界団体、さらにはユーザーからの意見も踏まえた取り組みが求められるでしょう。

キャンピングカーはコロナ禍でも有効な手段だったのか?

密を避けた方法として、キャンピングカーなら必要最小限の接触で、自然や旅を楽しめると人気が高まってきました。

こみち自身は、旅のツールとしてよりも、事務所として活用できないかというのがキャンピングカーに関心を持った理由でした。

しかし、その際に備えたい装備を考えると、気になる車体は軽く1000万円以上で、当初考えていたメリットが見つかりません。

そこで、もう少しシンプルな装備と考えていくのですが、その際に行き着いた結論はマイカーでも十分ではないかというものでした。

まず、車中泊は想定していないこと。さらに車内での調理も必要ではなく、想定としては店舗で購入した既製品を車内で食べられたらと思うくらいです。

なぜ、そのような結論に至ったのかというと、先ずは治安面で、安全性を高めるには管理された場所を利用することが必須で、例えば人影さえないような山奥での車中泊はそれなりに危険を伴うと感じます。

目的が冒険と思うなら別ですが、単純にオフィスとして使うことを考えるなら、旅先でも宿泊施設を上手に使った方が、治安面でも安全だと思うに至りました。

車内調理でも、日頃から自宅のキッチンを使って、コンロはもちろん、レンジやオーブンも使用して食べたいものを作ります。

当然ですが、水道の蛇口を撚れば水が出ます。

キャンピングカーでは、給排水タンクを例えば50リットルとか20リットルとか、目的に合わせて装備をしています。

水はとても重量があって、50リットルなら50キロとなり、女性一人を多く乗せて移動していることと同じです。

つまり、100リットルや200リットルの大きなタンクを装備することは現実的ではありません。

言い換えれば、車内調理が認められていることと、実際に車内で調理することは違います。

まして、一般車の車内は限られていて、大人一人分が横になるスペースを確保すると、調理するには安全と言える十分なスペースがあるでしょうか。

物理的な装備として可能でも、防火対策が十分でない場合には、ユーザーそれぞれが大人の判断をするべきです。

なぜなら、当初の理由となっていたコロナ禍の「密」も、キャンブ場や河川敷に集まる人数は増えるばかりだからです。

特に、キャンピングカーでも車内にトイレまで搭載され、完全に外界と遮断状態を維持できるのは一泊程度と思われます。

いずれにしても、一般の旅行と比べたらリスクが軽減されるに過ぎず、旅などしないで自宅で待機する以上に安全を保ち感染を軽減できるとは言えないからです。

本当の意味でビジネスとして成立させるには?

キャンピングカーを文化として根付かせることでしょう。

ポイントは、キャンピングカーにまつわる安全性を完備することで、車両や利用場所はもちろん、公的な安全性を告知することでしょう。

8ナンバー登録と満たしたとしても、実際の装備を満載して安全な制動性が満たされているとは限りません。

一般的な用途で、その機能が担保されていることと、不意の悪条件でも安全が担保されていることは異なるからです。

よくある例え話で、延長コードもリールに巻いたままでは熱がこもりやすく、大きな電気を流すと煙ができることもあります。

でもみんなが当たり前に知っていることではありませんから、どこまでユーザーライクに環境を整えるかは文化として根づくための第一段階です。

つまり、そこまで掘り下げてビルダーとユーザーの間をつなげられるYouTuber が増えれば、有益なコンテンツになっていくのでしょう。

その先に、ビジネスとしての勝算もあるのですが、YouTuber が一方で企業の片棒を担ぎ、他方でユーザーに自己責任を押し付けてしまうと、どうして目先は上手くいっても文化にはなりません。

せっかくここまで期待されているキャンピングカーだけに、幅広いユーザーと共に成長できるようなコンテンツが増えて欲しいものです。



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