「車中泊」を可能にするために
車の中で睡眠を取るには、就寝時の環境が問われます。
仕事や遊びで、予定時間まで数時間ある時に、運転席や助手席、後部席で座ったまま仮眠した経験は誰にでもあるでしょう。
「寝られないか?」と訊かれれば、「寝られなくはない」という答えでしょう。
「毎日でも大丈夫か?」と訊かれれば、「ちょっと厳しいですが」になる方もいるはずです。
車中泊の快適性は、遮音や遮熱、耐震性なども含まれます。
さらに言えば水平保持も重要で、「どこでも」という条件を満たすのは容易ではありません。
その意味では、「車中泊」も場所と環境を選んでこそというのがスタートで、どんな場所で主に使うのかで必要とされる装備も異なります。
例えばの話ですが、一般家庭でエアコンを使用する場合、室外機が使用する部屋と離れていることも少なくありません。
しかも深夜などでは室外機の振動や稼働音は全く気にならないレベルではなく、どこまで気にならないかというレベルでもあります。
つまり、環境によっては振動音が耳につき、何となく寝心地が良くないというケースも起こり得ます。
それは、ベッドの材質やスプリング、枕などにも関係し、誰もが快適な寝心地を求めるのはとても難しいことです。
つまり、車中泊における寝心地は、どこまでが許容範囲なのかが大きな問題で、寝袋でもしっかり寝られるならもっと楽に考えても良いですし、家庭で使う布団でないと寝付けない人はそれなりの装備や、思い切って「車中泊」自体を止めてホテルなどの宿泊施設を活躍した方が結果として良かったりします。
「車中泊」を諦めると
正式にキャンピングカーとして登録するには、少なくとも大人2名分の就寝スペースを確保しなければいけないそうです。
ここではその詳しい条件には触れませんが、就寝時には一定の面積を超える空間が必要になります。
一方で、例えば車中泊をしない用途に割り切るとはどういうことでしょうか。
もちろん、運転席と助手席で仮眠レベルを想定した就寝は可能ですが、完全に横になって寝るということを目指さないことで、車を「マイルーム化」できてしまいます。
キャンピングカーなら必須とも言えるFFヒーターや家庭用エアコンなども、用途を見直すことで外せるなら、ハイエースのワゴンタイプやバネットSV200のような車種を選べばかなり希望に近い環境を得られるでしょう。
3列シートがある車種で、2列目と3列目が向き合うことができると、それだけで後部を簡易リビングとして使えます。
そこに冷蔵庫や電子レンジまであれば、「観光地などでも使える車」になるでしょう。
もちろん、リモートワークをする簡易オフィス化にも使えます。
しかし、車中泊を考慮しないとは言え、手荷物や常備品が多い場合、コンパクトベースでは注意も必要です。
キャンピングカー選びにも関わりますが、持ち込みたい荷物をどこに収納できるのかなど、用途を考慮した車内装備になっていないと、雨の日でも車内からレイアウト変更できなかったり、靴を脱ぎたくても置き場がなかったりで、後からでは改善し難いちょっとした工夫ができないからです。
用途を大胆に割り切ることが、快適な環境づくりのポイントで、使いや多様な用途が想定されるなら、それに応じた車格を選びましょう。
その意味では、バスコンのボーダーバンクスで困難なことはほぼ国内キャンピングカーでも困難で、ある意味の限界を知る基準ともなります。
しかし、ボーダーバンクスは高額ですし、あれだけの大きさなので停車時は場所を選ぶでしょう。
立体駐車場も屋上駐車場も使いませんし、街中で見かけるタイプパーキングでも利用は限られます。
それがあるからこその「広さ」であるとも言えるからです。
その意味では、ハイエースでも大きなモデルは全長5メートルを超えるサイズ感で、一般的な駐車スペースが5メートルを想定していることを考えると、まさにギリギリのサイズです。
少し細い道や狭い駐車場での用途を考えると「ナローモデル」という選択肢も実益は多いはずです。
どうしてもワイドモデルに比べると狭く感じますが、その辺りの割り切りこそが大切なのでしょう。