お金と時間の関係
中高年になって思うのは、お金を消費することよりも「時間=寿命」を消費することの方が切実だと言うこと。
高収入の仕事も世間的にはありますが、一般的な仕事だとしても35年ローンが組めればマイホームだって手に入ります。
しかし、30歳で購入したのなら、払い終えるのは65歳になった時。
その間に、結婚や子育て、仕事上の立場も変化しているでしょう。
そう考えると、10年という時間はとても長く、でも短くもあります。
まして、それ以上長期のローンを組むとなれば、払い終えるまで人生の冒険は控えることも必要でしょう。
いずれにしても、「稼ぐ」ということを考えるばかりではいけなくて、それまでにどれだけの時間が必要なのかも考慮するべきです。
しかし人生の面白いところは、刹那的に手に入る環境や条件は「脆く」、長い下積みによって築かれた技は簡単には失われません。
資格取得という感覚で言えば、実務経験3年以上を必要とする資格はそれなりの経験が裏付けされていると思えるので、頭の良い悪いに関係なく、ある一定期間をそのことに費やせる覚悟が伴わない場合、やはりそれはどこか脆く壊れやすいものでしょう。
なぜに「3年」なのかというと、それはとても単純で1年や2年くらいなら大抵の人が頑張ることができて、それなりの経験や技術を習得しています。
しかし、3年以上となった時に、幾度かのタイミングで起こる「最悪の事態」に巡り会えます。
アンラッキーな状況を喜ぶ人も少ないと思いますが、この経験を経たか否かはとても重要で、継続を可能にする必須条件にもなります。
経営の世界では10年をワンクールと捉えることもあるそうですが、それは社内での人材育成に大きな変化を迎え、それまで順調だった関係が変わり、組織としての改善が問われる時期とも重なるからです。
考えてもみれば、25歳だった人も10年経てば35歳です。
単純な足し算ではなく、25歳なら良かった条件も、35歳になると少し不安や怖さも感じたりします。
実際、こみちなどは中高年になって未経験から介護士になりました。
もう全く環境は違いますし、時には介護業界の「大切にしているもの」に不安すら感じたりします。
特にこれから貴重な時間を捧げながら、1日ずつ寿命を消費していきます。
本当にこれを求めていたのだろうかとも感じますし、言い方を変えればそこが自分の居場所になったとも言えます。
人生の再出発をするには?
実をいうと、「人生の再出発」など、そう簡単にはできません。
なぜなら、再出発と称して、これから貴重な時間を使うことになるからです。
仮に5年という時間を何か夢のために捧げたとして、でもその挑戦は人生で1回、又は2回、できるかどうかという大きなものです。
まして、40歳を過ぎてからの5年はとても貴重で、例え「日本一周」に行ってみたらどうだろうかというくらいの意気込みでは到底始められません。
本業を持っていて、長期休暇などを使って少しずつ繋ぎ合わせながらの「日本一周」をした人の方が、むしろ尊敬できるくらいです。
これがまだ十代や二十代も前半の恵まれた年代なら、5年を費やすことも怖くないかもしれませんが。
再出発を具現化すためにも
中高年で人生の再出発を考えるなら、出発日までに準備をしましょう。
というのも、準備期間というのはある意味で「時間をロスしない」からです。
会社を辞めたり、旅に出たりすれば、白けるかもしれませんが「個人の経歴」に記録が残ります。
「この時に何を?」
そんな質問は、消すことができない記録と引き換えだった目的を確認しているのです。
「日本一周を!」
もしもそんな風に答えたとしたら、「その先には?」ともっと突っ込んだ質問を受けるでしょう。
しかし、旅だけではなくて、何かを始めるというのは、特に仕事や生き方を変えるということは、そこに何らかの覚悟も問われます。
理由に納得し、応援してくれるかもしれません。
一方で、上辺だけの会話で、その経歴に興味を示してくれないこともあります。
もちろん、生き方など個人の自由なのですが、再出発を考えると社会との関わりも無視することができません。
自己中心的な冒険は修正ができる若い年代がオススメで、中高年になるとリスクも想定しながら可能な冒険を探すのも方法です。
再出発に掛かる費用を算出しよう!
中高年の方が再雇用されるまでに必要な期間は、最低でも1年以上と言われています。
つまり、その期間を無収入でも生活できるくらい蓄えがないと、簡単には辞表も出せません。
さらに、何か挑戦したいと考えがあるなら、そのコストも上乗せしましょう。
先程の「日本一周」を考えるなら、旅費と1年以上暮らせる費用を合わせて、ざっと1000万円くらいになるでしょうか。
再出発するのもお安くありません。
何より、手持ちがないと「待つ」ことができないので、何かと即決できる手法に限られてしまいます。
それでは十分な仕掛けもできないばかりか、いつも「売上」ばかり気になって楽しめません。
だからこそ、再出発にはしっかりとした準備と十分な蓄えが欠かせないのです。
それでも「再出発」したい気持ちは忘れない!
まだ十代の挑戦なら、コストを限界まで抑えて余るほどの時間を使えば良いのですが、中高年の場合、40代、50代、60代でもそれぞれ環境も立場も異なります。
10年違いの若さは、そう簡単に埋められるものではありません。
そう思うと、リストラや雇い止めなどで職を失った時、考え方によっては再出発を実行するチャンスでもあります。
自家用車で日本を巡る旅に出れば、そこで新たな発見に遭遇することもあるでしょう。
しかし、目的もない再出発が奇跡的に成功する可能性は低く、やはり再出発には目的が必要です。
資金の多さはもちろん選択肢を広げるのですが、時間に関しても同じことが言えます。
中高年になってからの5年、10年の消費はもはや老後を切り売りすることでもあります。
苦しい挑戦にはしないで、楽しまなければもったいない話でしょう。
憧れてとして再出発は持ち続けたいですが、時間的にもコスト的にも、まだまだ決断する余裕がありません。
すでに旅人として人生を謳歌している先輩たちはとても尊敬します。
それくらい、旅を続ける怖さを感じてしまう大人になってしまいました。