なぜ一部の人は「黒」に憧れるのか?
まず、白と黒について考えてみよう。
かつて、シンガーソングライターの長渕剛さんも「白と黒」と言うタイトルの曲を作りました。
そこで描かれるのは、人間の表と裏を白と黒で表現していると感じます。
しかしここで触れたいのは、人の表や裏ではなく、むしろ「日の当たる場所」「当たらない場所」と表現した方が適切です。
ではなぜ、黒、つまり「日の当たらない」ことを誇らしげに語りたがるのでしょうか。
いろいろな理由があると思いますが、その時に考えられるのは本当は「グレー」なのに、「黒」だと思い込みたいと言う心理。
又は、一度自分を落とし込むことで、後は全て「上昇」した結果と思い込みたい心理。
特に、本当の意味で「黒」に染まったら、もう「黒」意外には選択肢はないでしょうし、それを覆すにはこの先の人生を「白」以上に「白」であっても晩年に間に合うかどうかと言う話です。
それでも「黒」を語る背景は、白やグレーにはない「速攻性」があるからでしょう。
白であるためには、過去から現在まで「白」であることが原則です。
何かのために「黒」を選んで、途中から「白」に変えることは難しい話です。
なぜなら、誰かが「黒」だったことを持ち出しますし、その人自身もふとした時に「黒」特有の仕草や態度を示すからです。
と言うのも、白であり続ける人は、逆に自分が白ことにさえ気づいていないかもしれません。
でもそれが眩しくもあり、輝いている紛れもない「光」なのです。
そのためには、正々堂々とした真っ直ぐさが必要ですし、相手を疑うことない純心さも不可欠です。
もしも騙された時に、騙されたことよりも、騙した人を心配できたら、それこそ「白」であり続ける資質が備わっています。
と言うのも、嘘がすぐにばれてしまうと分かりながら、それでも見え透いた嘘を口にする人はもう「白」ではありません。
だからこそ、白の人は、そんな相手がくすんで行くことを心配するのです。
と言うのも、白だからこそ受けられる特有の力があって、それはつまり「他者からの導き」に繋がります。
つまり、自分はいつも通りを続けているだけでも、結果として恩恵を受けられると言うものです。
そんな事ってと思うかもしれません。
しかし残念ながらすでに「白」ではなくグレーになった人には、それを確かめる手段は無いのです。
まして黒に染まってしまえば、もう白を感じることすらできないかもしれません。
それでも「黒」に憧れるのは、「白」を見ることができず、目につきやすいこともあるのでしょう。
黒に染まるとはどうことか?
人生の中で、時に美味しい話を持ちかけられたりします。
もちろん努力した結果と言うなら、それは正当な評価でしょう。
しかし、稀に「黒」に染まった人から、「黒」になることを条件に美味しい話を持ちかけられたりします。
憧れていたり、黒でも困らないと思ったりすると、その提案はとても旨味の多い話に感じます。
時にはラッキーだと思ってしまうでしょう。
しかし、本当の意味で「黒」になると言うことは、もう白はもちろん、グレーにもなれません。
なれるのはどこまでも「黒」で、相手さえ黒に染めてしまうほどです。
だからこそ、黒は黒を求め、時に甘い蜜でグレーをも染めてしまいます。
白から何らか理由でグレーとなり、そして黒へと染まる人もいるでしょう。
物質的には裕福になったのに、その豊かさはどこか歪に感じると言うのが特徴です。
と言うのも、黒の持つ力の多くは、狭い領域でしか効力を発揮しません。
白のように無限に広がりを持つことは無いからです。
その証拠に、白が白として成長するのは時間が掛かりますが、黒が黒としての成功を手に入れるのは一夜だったりします。
もしもそんな簡単に成功を手に入れられるのなら、誰もがそれを望むでしょう。
しかし、そこで手に入る成功はとても特殊だからこそ、よくよく感じる始めて、「白」へと想いを馳せるのでしょう。
しかしながら、黒に染まると、もう本当の白は感じられません。
だからこそ、白っぽさに憧れて、優しく良い人を演じるようになります。
その内、無警戒な白は気づかずに近づきます。
それを少しでも感じることができた黒は、それでも優しく良い人を続け、彼らを眺めて羨ましく思うのでしょう。
もしも黒っぽさを一瞬でも出してしまえば、白はパッと消えて見えなくなってしまいます。
だからこそ、一時の私欲で安易に黒に染まるべきではありません。
つまり、自己を裏切ることほど愚かな行為はないのです。
良い人に見えて、それが黒に染まった結果に得たものなら、もうそこには本来の白はありません。
あるのは作られた優しさや良い人っぽさです。
グレーの人はそんな人を見て「良い人だ」と思うかもしれませんが、白の人は「大丈夫なのか?」と彼らを心から心配します。
面白いもので、成功を勝ち取りたいからと言って、間違えた手段に手を出しては後悔します。
だったら失敗で終わっても、自分を裏切らないで生きるべきです。
なぜなら、自分を見捨てずに生きていれば、必ずチャンスは巡ってきます。
特に白を貫いた人は、そんな不遇の人を見抜くからです。
でもその時に、自分の中で黒が出たら、スッと白い人も消えてしまうでしょう。
グレーになった人は、そこから黒になれますが、白にも近づけます。
でも黒に染まったら、もう戻ることはできません。