現実的な選択肢を考えたら
キャンピングカー選びは、簡単に見えて難しいと感じるポイントがいくつもあります。
その一つが、バンコンやバスコン、キャブなどボディー形状の違いでしょう。
ボディー形状の違いを居住空間や停車中の快適性で比較することもありますが、現実的な確認として、旅先などでどれだけ一般車両に馴染めるかがポイントでしょう。
6メートルを超えるようなバスコンは、実際に見るとかなり特種な車に思えます。
テレビ局がロケなどで使う車両にもありますが、真っ黒に塗りつぶされた車窓だけでも、「アレは何?」と思わず振り返ってしまうほどの違和感です。
そんな車両が人気の少ない駐車場の片隅に止まっていたら、男性でも不用意に近づきたいとは思えません。
逆にそれだけ目立つ存在なので、オーナーの方も気を使って駐車場所を探すことになるでしょう。
その意味では、「バンコン」と呼ばれるワンボックスタイプのキャンピングカーなら、一般車両と変わらないの大きな魅力です。
もう一つあるキャブコンなら、車内でも立てるので、着替えや料理などをする時も家にいる感覚に近いでしょう。
その点、バンコンはポップアップルーフを使えば立てるのですが、その外観はかなり特徴的で、先に紹介した大きなバスコン同様に「何アレ?」とキャンピングカーに詳しくない人には驚きの存在です。
さらに言えば、ハイエースでも車幅の狭い「ナロー」なら、さらに一般車両と変わりません。
いかにキャンピングカーなのに一般車両と変わらずに見えるかは、国内使用を考えた時に重要なポイントです。
旅に出たキャンピングカーをどこに停めるのか?
いろいろ調べてみると、旅先でキャンピングカーを止めるのは苦労が伴うようです。
現役ユーザーの方をみると、オートキャンプ場やRVパーク、道の駅、サービスエリア、一般の駐車場などが候補地です。
オートキャンプ場やRVパークは、数千円の使用料が必要ですが、許可を得て止められ、また周囲の安全も確保されているなど、夜間時の不安軽減に繋がります。
道の駅や一般の駐車場の場合、無料で使用できるものの、他の利用者もまた使う場所なので、停車中は何かと気をつけなければいけません。
家ほど騒音対策が十分ではないし、バンコンタイプのキャンピングカーは、車種によっては窓からの視線を完全に遮ることができないなど、停車中の安全性という意味では「家にいるのではない」という意識が必要でしょう。
聞いた話では、一般に開放された無料駐車場だったとしても、停車中に警察官に職務質問されたケースもあり、それだけ近隣の住民にとっては見知らぬ車両が止まっていることを気にしています。
キャンピングカーというと、時間や場所に縛られない魅力があると思いがちですが、国内事情に関しては節度を持って使用しなければいけないことも分かりました。
周辺住民への配慮や、自身の安全性を考えると、一泊数千円のコストをケチるべきではなく、車中泊するならオートキャンプ場やRVパークなどを積極的に活用したいものです。
ビジネスホテルという選択肢
首都圏から離れたビジネスホテルの中には、宿泊客に無料や低価格で駐車場を提供している所もあります。
治安維持や疲れを癒すという意味では、比較的広いキャブコンでも、客室の快適性には及びません。
家財道具をいつも使いたい場合やペット同伴という場合には、キャンピングカーでの停車が避けられませんが、夫婦二人旅のような場合には、適度にビジネスホテルを使うと快適でしょう。
確かに一泊のコストを単純比較すると、オートキャンプ場やRVパークの方が安価ですが、年数回の旅行という場合にはキャンピングカー購入代金やメンテナンス費用まで含めると、意外と乗用車とビジネスホテルの組み合わせはリーズナブルだったりします。
「ナロー」という選択肢
ナローとは、バスコンキャンピングカーでベース車両となるハイエースのモデルの一つです。
ナローとは異なるモデルを、「ワイド」と区別しますが、車両の横幅が約20センチ異なり、アルファードよりも横幅が狭いモデルが「ナロー」の魅力です。
車内スペースが広いと、あれこれ装備を充実させられるのですが、いざオーナーになって思うのは「どこに行こう?」「どこに泊まろう?」という切実な問題です。
やはり安全面という意味ではホテルや民宿に泊まり、駐車場を借りた方がいいでしょう。
それ以外で言えば、オートキャンプ場やRVパークのような有料でも専用施設を活用すること。
道の駅や一般の駐車場は、確かに無料なので魅力的ですが、騒音やマナーなどでトラブルが増加しているという話もよく耳にします。
そうなって来ると、「車中泊」は緊急時のみ。
という発想の転換もできてしまうでしょう。
つまり、キャンピングカーの車内をゆったりとダイニングルームとして活用し、必要時にベッド展開するのです。
具体的使い方としては、温泉街やグルメ旅行、観光地巡りなどを主目的として、一般車両同様に走りやすくて疲れ難い車両を探します。
ガソリン車よりもトルクに余裕があるディーゼル車がオススメで、場合によってはリトリートのような割り切りで車両を選ぶのです。
車中泊を視野に入れなければ、FFヒーターやエアコン、冷蔵庫や電子レンジも必須ではありません。
もちろん、オーナー好みで搭載しても良いのですが、フル装備にしないことでより扱いやすい車両になります。
もっと言えば、ハイエースからもうワンサイズ小ぶりにして、フリーズプラスやNV200などを選ぶと、より一般車両と変わらなくなり、旅先でも扱いに困りません。
年間100日超えるヘビーな使用を想定しないのなら、日帰り旅行やプラス仮眠、またはビジネスホテルで宿泊という方法で、安全性と快適性を両立させた「くるま旅」が実現します。
なんでもできること目指すあまり、実は使い難いこともあります。
だったらどこまで割り切れるかで、キャンピングカーを見つけても良いはずです。