「マルチハビテーション」とは?
自宅以外の住まいを持ち、必要に応じて住む場所を柔軟に使い分けるライフスタイルです。
平日は利便性を考えて都心部に住み、週末や長期休暇には自然豊かな地域や趣味を活かした場所で自分らしく暮らすなど、「別荘」を持つみたいにいろいろな自分に出会えます。
キャンピングカーとの違い
「自由な生き方」という意味では似ていますが、その方法にはかなり違いがあります。
キャンピングカーを所有すると、維持費が掛かります。
具体的には駐車場やメンテナンス費用、燃料費や税金で、都心部では駐車場だけでもアパートの家賃並みというケースも珍しくありません。
それだけ資金に余裕がないとキャンピングカーを所有できないことになります。
少し都市部から離れた地域になると、車がないと買い物にも不便です。
家族全員の車があるという家も珍しくありません。
そんな地域であれば、キャンピングカー一台を追加しても置き場所に不自由しないケースもあるでしょう。
キャンピングカー所有者のアンケート調査によると、行き先の多くは観光地や温泉街などで、意外にもキャンプ場を挙げる人が一番多い訳ではありません。
購入のきっかけとして、ペットをあげることも多く、公共機関を使っての旅行に手間が掛かることからキャンピングカーを所有するに至ったようです。
例えばキャンピングカーでオートキャンプ場を利用した場合、数千円の利用料が必要です。
中には、道の駅やサービスエリアを一時的利用して、宿泊費を抑えようとする人もいます。
しかし、道の駅で車中泊する場合、周囲の騒音も気になりますが、車内の騒音や生活音にも気を使うものです。
キ全ての窓にシャッターが付いているキャンピングカーなら外部からの視線も遮れますが、窓をカーテンや目隠し用のシートで遮る場合には、どうしても車内の光が外部に漏れてしまう心配が残ります。
そのあたりは、家とは異なる部分でしょう。
「マルチハビテーション」のメリット
マルチハビテーションというライフスタイルが浸透したのも、地方を中心に「空き家」が増加している社会的背景があります。
以前は子どもたちも一緒に暮らしていて、大きな家が必要だったけれど、今は夫婦二人だけになり、扱いやすい物件を望む方の中には、持ち家を売却したり、貸したいと考えています。
そのような事情もあって、マルチハビテーションというライフスタイルが生まれ、空き家を積極的に活用しようとなったのです。
特に、週末などに地方で暮らしたい人にとっては、家だけでなくその地域の環境も知りたいはずで、インターネットなどで得られる情報に加えて、短期間でも住んでみることで分かることも多いはずです。
キャンピングカーと比較してのデメリットは、ある程度の「縛り」ができてしまうこと。
急に思い立って行き先を変えられるキャンピングカーに対し、マルチハビテーションであれば契約や予約など、空き室の確認が必要になります。
しかし、例えばビジネスホテルなども含めると、単身者や夫婦二人だけという場合には、マイカーによる移動コストや時間などもキャンピングカーと比べて大きな差は感じられないことから、むしろ選択肢や居住性、安全性という意味では一考する余地があるのではないでしょうか。
都心部でビジネス用途でオフィスを持ちたい場合に、事務所を借りるという方法以外に、レンタルオフィスやバーチャルオフィスなど、必要なスペースに合わせて借りることができるので、キャンピングカーを移動オフィスとして使う場合よりもコストを抑えることができます。
とは言え、キャンピングカーならいつでも「仮眠できる」という利点は残りますが。
マルチハビテーションによって、地方の空き物件に注意が集まっていますが、ある程度の地方都市にはウイークリーマンションなどもあるので、「街に住む」という意味ではいろんな選択肢があるでしょう。
移動オフィスという意味合いで探すのなら、なおさら地域や沿線など希望に合わせて選んでも面白いはずです。
マルチハビテーションというライフスタイルが、これからさらに浸透することでしょう。