「バスコン」と「バンコン」の境界線

 「バスコン」の優雅さと「バンコン」の使い勝手

例えば、ボーダーバンクスの車内に立つと、初めてキャンピングカーに触れる人でも納得できるだろう。

というのも、ボーダーバンクスは、装備も充実しているのだが、その一つひとつがゆったりと作られていることに気づく。

入り口を入ったところで目にするダイニングテーブルも、車内だから手狭という印象はなく、まして夫婦二人で使用するなら広さで困惑することはないだろう。

だからこそ、車内での食事に専念できるし、二人が大切にしたい車旅が有意義になっていく。

では、ボーダーバンクスよりも全長で1メートル以上も短く、横幅も10数センチ狭くなったバンコンが不便なのかと思ってしまう。

確かにボーダーバンクスのような広さを感じることは難しい。

でも、個々の装備は必要十分だし、何より運転がし易かったり、日常的に乗り回す時もサイズ感で大きさを感じないで済む。

大型バイクにおけrj原付バイクとまでは言わないが、250ccクラスのバランスに優れたほど良さが魅力となる。

例えば、バスコンクラスのキャンピングカーが1500万円だとしたら、バンコンクラスは700万円から800万円くらいになるだろう。

つまりちょうど半値くらいの価格で、キャンピングカーの楽しさを感じることができてしまうことになる。

日本特種ボディー新型「SAKURA」の立ち位置

新型SAKURAといえば、いすゞ自動車が提供する車両を用いて、安定感のあるキャンピングカーが魅力だ。

ボディーサイズも5メートルを少しオーバーしてしまうが、横幅は2メートルを切り、コンパクトなバンコンよりもスリムだったりもする。

それだけコンパクトな車体であるがゆえに、国内を旅する時にもボディーサイズで苦労しないギリギリを狙っているのだろう。

しかも屋根には大型ソーラーパネルを敷き詰め、最近の大容量バッテリーも搭載され、夏場のエアコンから電子レンジと隙のない装備となっている。

問題があるとすれば、あのボーダーバンクスとかなり価格帯が近いこと。

1500万円を超える価格に手を出せる人であれば、あと200万円を出し惜しみして理想を我慢したいとは思わないだろう。

もう少し言えば、新型SAKURAは外観の印象よりもコンパクトになっていて、ベースがトラックだから意外と小回りもきく。

住宅地を宅配便が回って来るが、ほとんどサイズは同じだから、密集した住宅地でも慣れてば運転できてしまうことも想像できる。

ところが、コースターなどをベースにしたキャンピングカーは、回転半径でトラック同等とはいかない。

つまり、1メートル長いバスコンで、SAKURA同様に細い道をスイスイと入ってはいけないだろう。

まして、バンコンと比較すれば、運転手の気持ちでも差があるはずだ。

定住型!? それとも…

お気に入りの場所で、日程を気にせずにゆったりとした時間を過ごす。

もちろん、それがキャンプ場ということもあれば、別荘地ということもあるだろう。

だからこそ、車内ではしっかりと調理も楽しみたいし、トイレやシャワーも使いたい。

夫婦二人で使用するなら、車内の前と後で二分割し、パーソナルスペースを確保して長期滞在のストレス発散にも工夫が欲しい。

旅先でも移動を繰り返し、毎日景色の異なる場所で朝を迎えるという楽しみ方も捨てがたい。

もちろん、大きなバスコンでもできることだが、一般的なスーパーの駐車場では停車場所で気を使う。

それも旅の醍醐味ということもできるが、雨降りなどは建物に近い場所が嬉しいだろう。

そう考えるとバンコンの使い勝手が旅に出て分かって来る。

確かにもう少し広さと便利ではあるが、旅先での「ちょうどいい」がなくなってしまう。

では、キャブコンならどうか。

ほとんどバンコンと長さは変わらないから、5メートルに収まる車体を選べばバンコン同様の使い勝手の良さが得られるだろう。

ただ、車高があるので、横風が強い日にはどうしても走る時に気を使う。

同じキャンピングカーでも、同じように運転はできない。

一回の車旅で何泊も予定するなら、居住性に趣きをおいて、よりゆったりと使えるキャブコンが欲しくなるだろう。

でも週末に一泊がメインの使い方となれば、運転のしやすさや車体の安定性の方が気になるはずだ。

そんな目的で大きなバスコンを買ってしまうと、運転が面倒だと使うのも億劫になってしまう。

せっかくの快適装備も、移動が煩わしくなると魅力も半減だろう。

意外と自分がどんな風にキャンピングカーを使いたいのかで、選ぶべきタイプも決まって来る。

そのうえで、常設ベッドが必要なのか、トイレや荷物室はどれくらい重要か、料理のこだわりも含めて、電気主体かカセットコンロを使うのか。

温泉や観光を主体に、日中は車から離れる旅スタイルもあるが、車内でリモートワークをしたい人もいるだろうから、車内照明やコンセントの位置なども自分の使い方に合っているか確認したい。

若い世代にはバンコンが人気というのも頷ける。

中高年を過ぎてシニア世代になると時間的にも余裕ができて、キャブコンやバスコンへとサイズアップするのだろう。

各社がラインアップしているキャンピングカーを眺めていると、そこにどんな旅スタイルがに会うのかと想像してしまう。

それぞれに良さがあるが、自分のスタイルが明確になるほど、求めている究極の一台に出会えるのではないだろうか。

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