「コースター」ベースのキャンピングカーに憧れて

 トヨタ「コースター」とは?

トヨタの「コースター」は、2017年のフルモデルチェンジを経た4代目になります。

ボッてっとしたフォルムの3代目とは異なり、角張ったデザインがシャープな印象を与えます。

それを可能にしたのは、環状骨格と呼ばれる屋根の補強部材と各ピラーとを接合した骨格を採用することで、安全性を向上させました。

また、最近の自動車に採用されている安全安心機能として、車体前面にミリ波レーダーと単眼カメラを装備し、クルマのみならず歩行者に対する感知も大幅に向上するなど、衝突回避支援機能も加わりました。

エンジンには太いトルクが得られるディーゼルを採用し、排気量は4009ccと40kgf・mを超える最大トルクが快適なクルージングを支えます。

ボディーサイズは3種類あって、標準とロング、超ロングに分かれます。

また、内装に関しては、高級感ある「プレミアムキャビン」が追加された他、標準と上級グレード、さらに貨物の用途でも使いやすいモデルもあります。

標準ボディーでも、全長が6メートルを超えるので、キャンピングカーベースとして寛げるワンランク上の魅力を与えてくれるでしょう。

トイファクトリー「セブンシーズ」

トイファクトリーと言えば、ハイエースをベースにした数々のモデルをラインナップしているビルダーですが、最大にして最高グレードに位置付けられるのが「セブンシーズ」です。

しかも標準ボディーではなくロングボディーをベースにし、その全長も7メートル近くとかなりの存在感です。

そして、大きな開口部となる窓部分を出窓風の架装でリメイクし、スクエアでゆったりとしたコースターがさらに快適な空間へと生まれ変わっています。

気になる装備としては、ダイニングと大型のベッドルーム、ギャレーに温水シャワーも使えるトイレがあります。

冷蔵庫は90リットルで、例えば日本特種ボディーが製作販売している新型SAKURAと同じタイプが採用されていました。

電子レンジももちろんあって、ギャレー部分は2口のコンロとシンクがあるなど、簡単な調理には十分過ぎる豪華さです。

細かな部分で天井に大きなファンがありますが、ギャレー部分に専用の換気扇などは確認できませんでした。

全体的にゆったりとしたサイズ感で、収納スペースが多いこともあり、長旅でも置き場に不自由は感じないでしょう。

ナッツ「ボーダーバンクス」

ボーダーバンクスには、内装レイアウトの違いから三タイプが存在します。

中でもタイプTは、対面式のダイネットと後部のツインベッドが特長のモデルです。

また、コースターベースのゆとりある空間を生かし、キッチンスペースには2口コンロと丸型シンクの他、調理スペースも確保でき、効率的に料理を楽しめます。

もちろん、冷蔵庫や電子レンジもあるので、レンチン調理も可能です。

ボーダーバンクスの場合、外部後方の収納スペースもある他、後方に加えて左右かもアクセスできるので、駐車状況を気にすることなく荷物の出し入れにも困りません。

特にナッツでは「エボリューション」と呼ばれる充電システムに力を入れていて、アイドリングだけでも搭載するエアコンを稼働させられたり、約5時間程度の走行でバッテリーをほぼ満充電できるようになっているそうです。

この辺りは、例えばリチュウムイオンバッテリーの搭載が可能になれば、さらに利便性が向上すると期待させます。

トイレ及びシャワー設備が確保できるので、長期滞在がより快適に行えるのもポイントでしょう。

究極の「キャンピングカー」を考える

例えば、日本特種ボディーの新型SAKURAには、これから求められるであろう電気システムがあります。

こみちとしては、動力源も電気化され、キャンピングカーがまるごと電気で稼働してくれたらと思っています。

キャンピングカーの場合、一般的なスポーツカーのようにエンジンフィーリングは問われませんし、トルク面でも電気を使うメリットがあると感じます。

新型SAKURAの場合には、リチウムイオンバッテリーを新たに搭載したことで天井に装備されたソーラーパネルと大型のオルタネーターなどがより電気化に貢献しています。

一方で、新型SAKURAの場合、燃料タンクが50リットルとコースターの95リットルと比較してもかなり小さいことが分かります。

その意味では、発電量は十分だとしても、長期的な滞在では燃料タンクの容量が気になってしまうのは残念なポイントでしょう。

しかし、例えばギャレー部分にはあえてカズコンロなどは搭載せずに、電気化にこだわることで、車両の特徴を活かしていると評価できます。

さて、コースターをベースにしたキャンピングカーの場合、車両のコストが最初に気になります。

業界に詳しくないので、実際にはキャンピングカーベースの車両が提供されているのかもしれませんが、それでもキャブコンのトラックと比較しても割高になってしまう印象を受けます。

というのも、新型SAKURAと比較して、広くなった車内ですが、内容的な構成に大きな違いは感じられません。

もちろん、ゆったりとした広さはありますが、「ワンランク上」のキャンピングカーとして考えるなら、新たな取り組みや提案が欲しいとも感じます。

思いつくままに挙げていくと、停車時の水平機構や後部の荷物室のアクセス、車両面では騒音対策や耐震対策、難燃素材の採用と続きます。

車内の居住面では、オーブンレンジの搭載や50インチを超える大型画面、漏電防止機能やゴミ置きスペースの確保。

ダイニングと寝室の間仕切り、ギャレー部分の換気扇も欲しいところです。

長期的旅行を見据えなら、自転車の搭載機能や洗濯物干しの工夫も必要でしょう。

また、例えばキャンピングカーをYouTuber仕様として、撮影スタジオにもなる照明器具やカメラの固定フックなども新たなニーズにならないでしょうか。

特に高級キャンピングカーという位置づけとして、オートロック機構や防犯対策の一貫として、後部の荷物室から車内へと侵入できてしまう構成にも不安を感じます。

すべてを一台のキャンピングカーで賄うのは難しいとしても、「〇〇バージョン」という形で、次世代見据えた提案があると面白いです。

特に高級キャンピングカーでも汚水や空調機、エアコンのメンテナンスは不可欠なので、それに対する取り組みにも興味があります。

5メートル級のキャブコンではスペース的に難しい部分を、6メートルを超えたキャンピングカーだからこそ克服した装備となれば、訴求力もありますし、例えば1000万円オーバーの価格だとしても、コスパとして十分に納得してもらえる商品パッケージになるのではないでしょうか。

ハイエースのワイドモデルよりも小回りが利くというコースターだけに、例えばショートモデルとしてコンパクトながら利便性に富んだモデルという選択もあるかもしれません。

構造上、バンクベッドが無いモデルが多く、荷物置き場や就寝スペースの面では後部スペースで補うことが不可欠です。

また、意外とエントランスドアの開閉機構が大きいこともあり、ダイニングスペースが確保し難いこともあるでしょう。

コースターは4リットルを超える排気量なので、走行時の安定感もあり、長距離走行も苦になりません。

しかもモデルによってはRECAROシートが奢られていたりして、その装備にはさすがと思わせます。

上級グレードを考えるとアレもコレもと思う所もありますが、改めて感じるのは新型SAKURAのパッケージングの良さでしょう。



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