前に移動するのは…
足を前に振り出して、地面を掻いて前に進むと、体の前側、太もも前面などを酷使します。
短い距離ならまだしも、長くなってもそのフォームでは、太ももを含めた前側を鍛えるしかありません。
一方で、歩きはスピードが出ませんが、トボトボと歩けば10キロを休まずに移動できます。
こみちの場合、早歩きするとキロ9分から8分の間。
つまり、ランニングでこのペース以下になってしまうなら、最初から歩き続けた方が効率的だということ。
そう考えると、ランニングとして走る理由は、最低でもキロ7分ペースは保ちたいはずです。
ランニングで身につけるべきスキルがあるとするなら、それは「空中移動」でしょう。
歩きは必ず片足が地面に触れていて、歩幅の積み重ねが移動距離になりますが、ランニングでは歩幅ではなく、ストライドであって、そこには空中移動した距離も含まれます。
つまり、水面スレスレに投げた石のように、投げた時のスピードを活かして、水面を何度もバウンドしながら前に進むことでも距離を稼ぐことができます。
石は水面で加速している訳ではなく、落下して水面でバウンドし、また浮き上がって前に進んでいます。
言ってしまえば、「なんば走り」もこの理屈を応用していると思うのです。
具体的に
足が地面に触れた時、できるだけ何もしないことが大切です。
先ず最初に省けるのは、地面を押したり掻いたりする動きでしょう。
次に思いつくのが、足で前に進もうとするスピードを受け止めないことです。
体の前で足を着地させると、どうしても足がブレーキの役割になり、その分だけ地面を押したり掻いたりしたくなるのです。
なので、足はできるだけ体に引き寄せて、我慢して着地しましょう。
上手く着地できると、すぐに体は前に進もうとするので、今度は膝関節をいかにタイミングよくリリースさせるかです。
いつまでも体重を支える流れでロックしたままだと、段々と進もうとしているスピードが落ちてしまうからです。
膝関節をロックからリリースに変えることで、より減速をカットできます。
それら一連の流れがあって、さらに接地時の反発と前に倒れる落下重力を組み合わせて、減速分を補います。
一歩毎に、太ももの筋力で走るのとは違い、一歩毎にしているのは減速分を補うことだけなので、なんば走りが長い距離を楽に走ることに繋がるのでしょう。
筋肉と靭帯
筋肉は収縮させることで、パワーを生み出します。
なので、太もも前面の筋力でも走るのです。
一方で、筋肉の両側についた靭帯は、伸び縮みしますがそれだけを意図的に動かせません。
動かすには、動く環境が不可欠です。
例えば、アキレス腱を使うには、足首関節を固定させることになります。
筋肉よりも瞬発的に力を発揮させられるので、なんば走りでポイントとなされる減速を補うような働きに向いています。
つまり、なんば走りをしたいなら、接地で筋肉を動かすのではなく固定させます。
そして、一瞬で腱は反応するので、接地した後半は関節をリリースさせて、前に進もうとする動きをよりスムーズにします。
市民ランナー目線での課題
靭帯を使ってランニングする前提として、関節の柔軟性に対する意識が不可欠です。
数年ぶりに運動を始める場合、いきなり全速力で走ろうとしても足が追いつきませんし、場合によっては筋肉や靭帯を傷めて、走ることからまた遠ざかってしまうことも珍しくありません。
実際、こみち自身も全速力で走るまでに半年くらい期間を設けました。
日々もランニングでは、8割くらいまでを上限にして来ました。
そんなことなので、なんば走りの理屈を頭に入れても、いきなり真似するのは難しいかもしれません。
というのも、前に進む力をある程度キープさせることからなんば走りの技術が活かせるからです。
思うにランニングペースでキロ4分30秒ペースで安定して走れるまでは、筋力体幹を意識して走った方がいいかもしれません。
というのも、関節のロックやリリースをする余裕がランニングに中にできないと、結局は上手く扱えないからです。
その意味では、最初の段階として300mの距離をしっかりと走り切る練習も有効で、もちろん200mでも100mでもいいのですが、足をしっかりと回して走ること慣れることです。
ケイデンスを測定できるランニングウォッチなどがあれば、220spm以上まで回せると、かなり足を回す爽快感が得られるでしょう。
それができたら、バウンディングのような動きを学び、さらにスピードバウンディングへと応用する中で、ロックとリリースの必要性に課題が変わります。
そこから、改めて「なんば走り」がどんなフォームなのかを知ると、何をどう使って走るのかに気づきます。
こみち場合、約2年をかけて「そうだよなぁ」と思えました。
例えば最近で言うと、ランニング後に背中や肩甲骨まわりの筋肉が筋肉痛になったりします。
背中側の筋肉を以前よりも多く使うので、その結果、筋肉痛の場所も変わって来ました。